こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は305話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
305話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 最後の一戦
「実の両親に会ったように嬉しかったと言えば信じてくれますか?」
エレナの目が三日月のように曲がる。
彼女の心臓はどうすることもできずに揺れ動いた。
過去の人生、エレナを見ていた彼らの目つきが改めて浮び上がる。
イアンを奪っていった冷たい手、虫を見るように軽蔑の眼差しまで。
やっと実感がわいた。
フランチェ大公を前にしても笑えるほど彼と同等な立場になったということを。
これ以上床に倒れ、もがきながら彼らを見上げない。
彼らの首をつかむことができるところまで上がってきたので、喜びが押し寄せてきた。
フランチェ大公が両腕を広げて優しい父親のように振る舞う。
「私もそうなんだ。すると、父の胸に抱かれてみるか?」
「あなたの心臓を剌すかもしれないけど、大丈夫ですか?」
エレナは太ももに革の鞘から短刀を取り出し、にっこりと笑う。
フランチェ大公は低く笑い、すぐに表情を引き締めた。
「ホイット公爵は死んだのか?」
「逆謀罪は死刑で治めるのが帝国法です」
エレナは笑顔で彼の心証を固める。
あの傲慢な面々が微かに固まるのを見ると、胸がすっきりするような気分だった。
そのようなフランチェ大公を後にしてベロニカが馬を駆って前に出る。
「いらっしゃい。わざわざ訪ねて行く手間を省いてくれたの?」
「ベロニカ」「あなたも、皇太子も、レンも。ただでは殺さない。生きるということがどれほど苦痛なことなのか私が感じさせてあげる」
ベロニカは憎しみに満ちた目でエレナ、シアン、レンを交互に見てぞっとした笑みを浮かべた。
3人の爪を抜き、骨を砕き、四肢を切断する想像だけでも背筋がぴりぴりする。
「ヒュレルバード、貴様っ!」
第2騎士団長ジェームズが突然登場したヒュレルバードを見て歯ぎしりした。
第2騎士団に所属した直属の部下が無断で大公家を脱走して名誉を失墜させただけでなく、仕えていた主人に剣まで競う無礼な行為を見ると、腹が立った。
「この名誉も知らない恥知らずなやつが!貴様はそれでも騎士なのか!草原部族出身の根も
葉もない貴様を騎士団に受け入れてくれた私の目を掘り起こしたい気持ちだ」
「・・・」
ヒュレルバードは沈黙を貫いた。
分に支えられたジェームズの脅威にも一度も目を向けずに。
無覗されたジェームズの額に血筋が立った。
粘り強い悪縁の糸は、どちらか一方の死だけで解くことができた。
「素晴らしい」
フランチェ大公が淡々と一言を投げる。
小さな声だったが、全精神を彼に集中したために聞かなかった人はいなかった。
「皇太子やレンは、見た目以上に多くのものを持って生まれた。身分、血統、人。それらがあったからこそ、私に立ち向かうことができたんだ」
2人を経て、フランチェ大公の視線がエレナに固定される。
「あの二人と違って、お前は手ぶらだった。縁もないー通りの女。そんな君がリアブリックを弾いて私をここまで追い出した」
「切実だったから」
エレナは打ち返した。
殺さなければ死んだはずだから。
(また、お前たちが奪ったイアンを記憶しなければならなかったから)
エレナにとって復讐は選択ではなく人生の理由だった。
フランチェ大公が剣を取り直し、真っ暗な夜空を見上げる。
その視線は無情きわまりなかった。
「飾るのは人になるが、成すのは空だ」
「・・・」
「私と同じ時代に生まれたことを恨め」
エレナと目を合わせたフランチェ大公の勢いが変わる。
刃の嵐に似た無形の殺気がエレナに向かって吹き飛ばされた。
普通の騎士たちも耐え切れないほど荒々しい殺気。
エレナの顔は真っ白になる。
息がぐっとつまってきた。
散々な苦労を経験したというが、軟弱な身体的限界はどうすることもできなかった。
あの凶暴な殺気に巻き込まれると呼吸困難を起こしたり、頭に損傷を受けるかもしれない。
「後ろに下がっていた方がよさそうだね」
「おい、これは反則だよ」
「大丈夫ですか,お嬢さん」
エレナの呼吸は再び落ち着きを取り戻す。
刹那の瞬間、誰が先と言わずにシアンとレン、そしてヒュレルバードが出てきて殺気を遮断したのだ。
何が起きたのか正確には分からなかったが、3人がフランチェ大公から自分を守ってくれたという事実は分かった。.
「ありがとう」
エレナの口元にかすかな笑みが浮かんだ。
あまりにも心強くて、ここが血と肉が飛び交う戦場だという事実をしばらく忘却するところだった。
「三人とも、足りない私を信じてついてきてくれてありがとう。おかげさまでここまで来ることができました」
「何だ、その悲観的な感想は?私たちが必ず死ななければならないようじゃないか」
レンのおどけた態度にもエレナは笑顔を失わなかった。
「そんな結末はないと思います」
「もちろんだ」
シアンが一抹の考慮すら必要ないかのようにきっばりと言った。
ヒュレルバードは静かな目でエレナヘの犠牲と忠誠心をほのめかした。
エレナがそのような3人に向かって、これまでの感想を込めて最後の励ましの言葉を伝える。
「時代の転換点です。変わるか、持続するか。全ては3人の手にかかっています」
「証明しよう」
「こいつがしきりに負担感を与えるね。最善を尽くしたいと思う」
「はい、お嬢様」
シアン、レン、ヒュレルバードは剣を取り直して前に進んだ。
フランチェ大公とジェームズも祈りを捧げながら全身を震撼させる。
最後のー戦だ。
遠くから見守るしかないエレナの手のひらが汗で湿った。
3人に向けた信頼は絶対的だったが、それでも緊張するのは仕方がなかった。
(時間通りに到着して幸いだ。おかげでリンドン伯爵がペリンの足を縛ってくれた)
第1騎士団長のペリンは、攻撃的なリンドン伯爵に対処するのに苦労していた。
そんな中、守勢に追い込まれた第1騎士団まで指揮しようとすると、手に余る気配が歴然としていた。
シアンとレンが挟撃を加えながらフランチェ大公を圧迫する。
怪物のような舞踊に圧倒することはできなかったが、押されることはなかった。
(これだったんだ。メイが暗殺に失敗した理由が)
フランチェ大公の非常識で怪物のような強さはエレナの常識を超えた。
メイの奇襲的な暗殺が失敗した理由も納得できる。
(騎士出身という話を聞いていたけど、これほとど思わなかった)
帝国の三剣と称する荒野の狼レンとそれに次ぐ皇太子シアンの挟み撃ちに耐えるほどだとは・・・。
認めたくなかったが、フランチェ大公は天が生んだ超人であることは明らかだった。
「こ、こいつ!」
ヒュレルバードは第2騎士団長ジェームズを相手に優位を占め、容赦なく追い詰めた。
一介の新米騎士に過ぎなかったヒュレルバードを侮る傾向が強かったジェームズは、自分を圧倒する剣術に当惑した様子だ。
「負けない。あの三人ならきっと勝つよ」
エレナの信念は徐々に現実になっていった。
ヒュレルバードの猛攻に耐え切れず、防御に汲々としていたジェームズの胸に剣が串のように刺さった。
「がっ・・・。わ、私が・・・貴様なんかに・・・!」
ヒュレルバードはジェームズの体に刺さっていた剣を躊躇うことなく抜いた。
血を吐きながら死んでいった彼の遺体を感情のない目で見下ろしていたヒュレルバードが背を向ける。
(信じられない)
フランチェ大公の目に異彩が宿った。
第2騎士団長職は、ただ付けられる肩書きではない。
ペリンには及はないが、ジェームズは剣術と統率力、知力まで備えた有能な騎士だ。
そんなジェームズが、あっけなく簡単に殺された。
単なる平民出身の騎士に。
「呆れるね。リアブリックがやられるに値する」
フランチェ大公の視線はエレナから離れなかった。
自分さえ気づかなかったヒュレルバードの可能性を知り、騎士に選任したエレナの目が本当に驚いたのだ。
いよいよ最後の一戦!
ヒュレルバードも加わればフランチェ大公に勝つことはできるはず。