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12話




 

こんにちは、ピッコです。

今回は12をまとめました。

 

 

 

 

 

ネタバレありの紹介となっております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

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12話

11話 こんにちは、ピッコです。 今回は11話をまとめました。 ネタバレ...

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 変わる日々

雨粒が窓を叩く音にマックはやっと目を覚ました。

水滴がついている白い窓と黒い雲に覆われている空が朦朧とした視野に入ってくる。

マックは肩を震わせながら冷たい冷気にふとんを引き寄せた。

その瞬間、首の下に巻かれた固い腕が自分の体を強く引き寄せて懐に閉じ込める。

マックは頬を赤らめ、視線を落とした。

リフタンの大きな手が片方の胸を包み、足の間には石のように硬い太ももが突然入ってきて、一晩中出入りしていたところを押さえていた。

彼女はそっと身を引き離し、慎重に首をかしげる。

男は枕の中に顔を半分くらい埋めたまま、純真無垢な顔で眠っていた。

(純真無垢・・・? )

マックは自分の考えに呆れて首を横に振った。

男とは全く縁がなさそうな表現だから。

そう思いながらも彼女は穏やかそうな顔から視線を離すことができなかった。

いつも眉間におさまっていたしわが消えた顔は、20歳を過ぎたばかりの青年のようにみずみずしく見えた。

「ふぅ・・・」

うっかり彼の額の上に乱れた髪の毛を渡すと、彼は寝返りを打ちながら長く息を
吐く。

その姿に心臓がくすぐられる。

彼女は手を伸ばして、滑らかに見える額や頬を触ってみたい衝動を抑えた。

「リ、リプタン・・・、も、もうお、起きてください」

空が雲で覆われていて正確な時間を知ることはできなかったが、かなり長い時間が
流れたということだけは確実だ。

彼女は彼の懐から抜け出すために体を注意深くひねった。

すると、彼が眠りについた声で何かをつぶやいて、触れ合った肌を軽くこすってきた。

マックはうめき声を飲み込んだ。

茶色に焼けた滑らかな肌からかすかな汗のにおいと体液のにおい、そして妙なジャコウのにおいが漂ってきた。

その原始的なにおいに下腹から妙な熱が立ち上る。

彼女は太ももをびったりくつつけてベッドの上にうつぶせになった。

太ももの間はまだひりひりし、手足はずきずきしている。

ここでもっと関係を持ったら体が壊れるようだった。

彼女は彼が再び眠りに落ちるのを待って唇をかんだ。

どれだけそうしていたのだろうか、リフタンの腕から力が抜けていくのを感じ、用心深く上半身起き上がろうとしたが、背中に重い体重が落ちてくる。

「リ、リプタン・・・!」

彼女はベッドに平らになってもがいた。

「おはよう」

眠そうな声が耳の後ろをくすぐる。

マックは柔らかいシーツに顔をうずめた。

「うっ、うっ・・・」

目のくらむような快楽が、首筋を鋭く噛みちぎるようだった。

彼女は痙攣を起こす人のように全身を震わせる。

「・・・朝から人を困らせるね」

リフタンは震える背筋にキスをして、徐々に体を引き抜く。

「ちょっと待ってて」

リプタンが乱れた髪をかきあげながら、ふう、とけたたましく欠伸をし、ベッドから飛び起きた。

彼女は彼が裸で部屋をさりげなく横切ってズボンをはいているのを見ていた。

朝から人を困らせたくせに、彼はクリームをお腹一杯食べた猫のようにゆったりとしていて、平然としている。

「お風呂と着替えを用意しろ」

リフタンが門の外で待機していた下女に命令する。

マックはまだピークの余震で震えていた。

彼が黒く沈んだ目でその姿をぼんやりと見下ろし、ベッドに腰をかけて裸の
肩と背中にチュッ、チュッという音がするようにキスをする。

マックは弱音を立てた。

「た、大変です・・・」

再び彼が体の中に入ってくるのではないかと恐れてぶつぶつ言うと、男は少ししかめっ面をした。

彼は体液で濡れたお尻をなでながら心配そうに尋ねる。

「痛い?」

「ちょ、ちょっびり・・・」

「私が酷すぎたようだね」

しばらくして、下女たちがお湯が入った浴槽とタオルを持って部屋に入ってきた。

リフタンはメイドたちに「世話はいらない」と言い、女中たちを下がらせ、マックの体を抱きあげ、浴槽の中に注意深く置いた。

マックは筋肉のだるさが和らぐのを感じて、呻き声を上げる。

彼はズボンを脱いで彼女の後ろに押し込んだ。

水が少しあふれて床を濡らす。

「もうしないから、体から力を抜いて」

男が長い脚を広げて座り、硬くなっている彼女の肩を優しく抱きしめた。

マックは体を丸くして座り、顔や頭に石けんを塗るのを見ていた。

髪を洗った男が浴槽に新しい水を注ぎながら彼女の髪も洗ってくれた。

子供のように洗われているという事実が恥ずかしかったが、疲れ果てたため逆らえなかった。

「ふわふわしているのがまるで赤い雲のようだ」

彼が水の上で赤いクラゲのようにゆらゆら揺れる髪の毛を手に巻きつけながら言った。

マックは目を丸くする。

自分勝手にあちこちに伸びる醜い髪の毛を雲になぞらえることもありうるという事実にただただ驚くばかりだった。

「い、いつもか、勝手に絡まって・・・、ふ、不便ですよ」

「<ねくねしているのが可愛いよ」

彼女は目を丸くした。

この人の好みは本当におかしい。

「私といる時はいつも解けばいい。肩の上に流れている姿が素敵だ。肌に触れる感じもいいし」

彼は背中から腰を抱え、肩の上に鼻筋をこする。

彼らは指と足の指がしわくちゃになるまで水の中で戯れ、浴槽から出て水気を
拭き取った。

リプタンは彼女を暖炉の前に置き、タオルで髪を乾かす。

彼女も恩返しとして彼の髪を乾かしてあげた。

「今日はベッドでじっと休んでて。雨だから、どうせ外に出ることもできないだろうから」

リプタンは白いチュニックを頭の上にかぶって言った。

マックは彼が見る前で服を着る勇気が出なくてシーツで体をぐるぐる巻いたままうなずく。

首の周りに金糸で刺繍を入れた真っ白なチュニックは、彼に絵のようによく似合っていた。

彼が草を食わせた硬いズボンの上に首の長いブーツを引き上げた後、革ひもでしっかりと結んだ。

「そ、外に、外に出るのですか?」

彼がチュニックの上に防具を着用し、剣と口ーブを持っている姿にマックは怪謗な顔をした。

腰に帯剣をしていたリプタンが彼女を振り返り、そっと微笑んだ。

「出ないでほしいの?」

マックは何と答えたらいいのかわからず、唇を震わせる。

彼は肩の上にローブを巻きつけ、無愛想に話し続けた。

「長く離れていたせいでやることが多い。今日は一日中領地を覗察するよ。もし何かあったら衛兵を送って」

「で、でも雨、雨がこんなにたくさん降って、いるのに・・・」

彼女は騒々しく窓をたたく雨脚を見た。

彼は大したことないように盾をすくめた。

「暴風雨の中で山全体をかき回したこともある。領地を歩き回ることぐらいは何でもない」

そして頭の上にフードをかぶった後、つかつかとドアの方へ歩いて行った。

「行ってくるね」

「い、いってらっしゃい・・・」

彼が肩越しに意味の分からない視線を送り、すぐにドアを開けて外に出てしまう。

その時になってようやく彼女は震える足でベッドから起き上がり、下女が準備しておいた下着とペチスカートを着た。

しかし、その上に着るドレスはどこにも見当たらなかった。

 



 

マックは枕元の小さな鐘を嗚らした。

しばらくして、ルディスが新しい服を持って部屋に入り,身支度を.
手伝ってくれる。

「髪は昨日のように編んで上げましょうか?」

「た、ただ・・・、編んで、肩の上に降ろしてください」

ルディスは一瞬にして髪をきれいに一つに編み、リボンで結んでくれた。

マックはやや地味だが、楽なドレスを着て暖炉の前に座り、温かい鶏肉スープとトウモロコシのパンでお腹を満たした。

満腹感に気持ちよく浸って窓際に座って降る雨を見物するのをしばらく、午後になるとロドリゴを呼び、昨日見られなかった所を見回ることに。

歩くたびに足の間がずきずきして敏感になった胸が布に擦れてひりひりしたが、一日中ベッドの上でぶらぶらしたくはなかった。

使用人たちに怠け者の女主人と思われるのは避けたかったからだ。

別館の応接部屋まですべて見回した後、ロドリゴに過去の物品購買内訳を記録しておいた帳簿を受け取って部屋に戻る。

しかし、黄色い羊皮紙に書かれていることだけを見ていては、何が重要で何が不要なのか把握するのが難しかった。

そもそも彼女は買い物をした経験もない。

知っているのは、せいぜいソルデムが金貨、リラムが銀貨だということぐらいだった。

しかし、帳簿にはその他にも初めて聞く貨幣名称がたくさん記録されていた。

「デナール、デルハム、ダント・・・」

南大陸から入ってくる硬貨の名前だということは、ちらっと聞いて知っていたが、何がとれほどの価値があるのか全く分からなかった。

マックは購入履歴にざっと目を通す。

武器と食糧、衣服と油、キャンドル、焚き物などの必需品が記録されており、その横には購買量と総支出金額のように見える数字が書かれていた。

彼女は幼い頃に家庭教師から学んだ知識を総動員して貨幣の価値を逆に推算してみた。

しかし、あまりにも長い間、数字に接したことがなかったため、計算は次第にこじれていく。

しばらく格闘していたマックは結局、これといった成果もなく帳簿を覆い、落ち込んだ顔でベッドの上に倒れる。

ロドリゴに聞いたほうがいいんじゃないかな。

しかし、父親はいつも使用人たちに威厳のある姿を見せなければならないと強調した。

「下人は無知で無能な主人を無視してだますものだ」

クロイソ公爵の冷淡な召使いたちを思い浮かべながら、マックは肩をすくめる。

露骨に無礼な態度ではなかったが、皆密かに蔑視するような態度で彼女に接することが多かった。

カリプス城の使用人たちも、自分の無知を知ったら、そのような態度を取るかもしれない。

「ま、まだ時間はあるから・・・」

彼女は萎縮しようとする気持ちを引き締めた。

 



 

リプタンは夜遅くまで騎士たちと一緒に雨に濡れて帰ってきた。

使用人たちは彼らをサウナ室にまっすぐ案内する。

そこで蒸気で体を温め、酒と食事を豪快に楽しんだリプタンは、部屋に戻って剣と鎧の手入れを始めた。

こんなことは普通付き人に任せるんじゃないかと質問すると、彼は肩をすくめて軽く答える。

「14歳の時からやってきたことなので慣れている。それにこいつを他の人が触るのも嫌だし」

それから真っ白で真っ青に輝くという剣刃を明かりに照らしてみた。

父親が宴会場に入る時だけ腰につける華麗な剣とは全く違う。

取っ手にはどんな装飾もついておらず、剣刃の幅が広く剣身が長く、先端は尖塔屋根のように尖っていた。

ごつごつしながらも単純な形の剣が、宝石と黄金で飾った父親の剣より数十倍は威厳があるように見えるというのが不思議だった。

「り・・・、立派な・・・、剣みたいですね」

「初めて剣術大会に参加した時に得たものだ。七国をひっくるめて片手に数えられる宝剣だよ」

彼は誇らしげに言った。

マックは剣術大会を見たことがない。

ロゼッタは自分を「敬愛するレディー」にしてくれた騎士たちを応援するために父親と一緒に何度か観覧に行ったことがあるが、帰ってきてからはいつも騒々しく汚く野蛮な行事だと不平不満を並べ立てた。

「優勝したんですか?」

「もちろん」

男が当たり前のように言って、鞘の中に剣を差し込んだ。

それをじっと見下ろしていたマックは、突然吐き出した。

「ゆ、優勝者は、最も知的なふ、夫人に口づけをしてもらうそうですが・・・」

後ろに行くほと声がぶつぶつと散らばっていく。

彼女は自らが吐いた言葉に戸惑い目を伏せた。

なぜこんなことを言い出したのだろうか。

怪しさが込められた彼の目にマックはしどろもどろな言い訳をならべた。

「む、昔、ほ、本で、お、王女、王女の話をよ、読んだことがあります。し、試合で優勝した後・・・、お、王女にキスをしてもらうシーンがあったんだけど、か、かっこいいと思って・・・」

話を続けるほど幼稚で馬鹿のように感じられた。

あなたは口を閉じる時を知らないと言っていた父親の叫び声が耳元でちらつく。

「失望させて申し訳ないが、私はそんなに素敵な場面は演出しなかった」

リプタンはいらいらする様子もなく淡々と話す。

「よく知りもしない女にキスしてもらいたくない」

「貴婦人のく、口づけはき、騎士にとって・・・、え、栄誉あることじゃないですか」

「私は卑しい傭兵出身なので、栄誉とか何かということとは壁を作って生きてきた。私が近づくだけでも悪臭でもするという印象を受ける女性たちとキスすることが栄誉なことだという気もしないし」

生意気な言葉にマックは答える言葉を見つけられず、目を丸くした。

皮肉を言おうとした話ではないようで、彼は平気な顔で片方の壁に剣を
もたせかけておいて、ベッドの上に横になる。

思わず体を緊張させると、リプタンが腕を枕にして横になりながら苦笑いをした。

「今日はいじめないから横になって。ひりひりするんじゃないの?」

マックは足を伸ばしたままうなずいた。

彼は彼女を私のそばに寝かせ、枕元に置かれた背中の上にふたをする。

薄暗い闇が頭上に舞い降りた。

マックはいつもの心臓の鼓動に耳を傾け、ゆっくりと体から力を抜いた。

カリプス城での一日がまたそのように過ぎ去った。

 



 

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