未分類

11話




 

こんにちは、ピッコです。

今回は11をまとめました。

 

 

 

 

 

ネタバレありの紹介となっております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

各話リンク こんにちは、ピッコです。 ネタバレありの紹介となっております。 ...

 




 

11話

10話 こんにちは、ピッコです。 今回は10話をまとめました。 ネタバレ...

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 領地アナトール③

リプタンは庭を横切って壁の上に登る。

それに沿ってイカリの前に立つと、岩壁に覆われた荒れた山裾と急な絶壁、その反対の斜面を覆っている濃く青色の草木が一目で入ってきた。

「毎日30~35人ほどの衛兵がこの楼の上を回りながら城を巡察し、望楼に上がって魔物が出没したのではないか周辺を監覗したりする。敵が現れたらコッペルを吹いて騎士たちにその事実を知らせる。信号が嗚ると、騎士たちが衛兵を率いて戦いに出ることになっている」

彼の説明に耳を傾けながら、マックはそよ風の前にしっかりと立っている砦を見た。

彼の要塞は非常に単純な構造をしていた。

域壁が四方を取り囲んでおり、城の正門前には騎士のための宿舎と訓練施設が、2番目の城門の後ろには本城と別館の使用人の居住地が位置している。

まるで巨人がひざまずいて座ったようなごつい建築物の裏側には広い後園が位置していたが、そこには鉄串のような長い城塔が突き出ていた。

それを好奇心に満ちた目で眺めると、リプタンが説明してくれた。

「あの塔にはルースが住んでいる。山脈の近くに位置しているので、いざという時に遠距離攻撃の魔法を詠みやすいんだ」

リプタンは頭が痛いかのように眉をひそめながら続ける。

「できるだけ近くに行くな。奴が研究をやるからといってあちこちに変な魔法陣を設置しておいて、たまに頭の痛い問題が起きるから」

「ま、魔法陣ですか・・・?」

少しの興味を感じながら彼を見上げたが、リプタンは詳しく話すつもりがないようで、巡察路に沿って城の後園に向かって歩いた。

「あそこに見えるのが馬小屋、あれは畜舎、あの建物は食料倉庫だ。万が一でもある長期間の戦闘に備えて、常に一定量の保存食を保存しておく」

単調に話を続けていたリプタンがふと語尾を濁しながら彼女の表情を見た。

「退屈だろう?私は口下手なんだ。女とどう接したらいいのかもよく分からないし・・・」

「・・・退屈ではありません」

マックはあいまいな笑みを浮かべた。

確かに洗練された話し方と愉快な冗談で会話を導いていく彼の姿はなかなか連想されなかった。

しかし、女性に接することに慣れていないという言葉は、簡単には信じられなかった。

ある日突然、一夜にして変身しない限り、彼は28年を美男として生きてきたはずだが、これまでどれほど多くの女性から誘惑されたのだろうか。

マックはクロイソ城を定期的に訪れていた父親の奉神騎士を思い出す。

彼らはみな恋愛の鬼オだった。

騎士たちの世話をしていた下女たちがくすくす笑いながら、騎士たちの巧みな誘惑に対する賛嘆を吐き出すのを聞いたのは一度や二度ではなかった。

きっとリプタンも綺麗な下女や美しい貴婦人と恋愛を楽しんだ経験があるだろう。

北部では女主人がお客さんのお風呂の世話をしてくれるという彼の言葉も思い浮かんだ。

彼がどうしてそのような事実を知ったのだろうか。

突然マックは、気持ちが急に落ち込むのを感じた。

過去にリフタンが何をしても、自分が不快な理由は全くなかったにもかかわらず、心が傷ついた。

「どうしたの?しかめっ面をして」

「あ、その、か、風が少し冷た、冷たくて・・・」

慌てて言い繕うと男が腕を上げて冷たくなった首筋と肩を抱きしめる。

彼の体からする男性的な香りにマックは息を止めた。

「もう少し厚手の服を用意しろと言えばよかった」

「だ、大丈夫です。か、風が、吹かなければ・・・、太陽も暖かくて・・・」

「気に入った?」

マックは派手なドレスを見下ろす。

こんなに綺麗な服は初めてだと言ったら不思議に思うだろう。

「き、気に入り・・・、気に入りました」

「近いうちに裁縫師を呼んであげるから、欲しい服があればいくらでも新しく注文して。数百着でも買ってあげるから」

リプタンが彼女のあごを軽く握って持ち上げ、突き剌さるような強烈な覗線を送ってきた。

顔が熱くなる。

これが女に接することに慣れていない男の行動なのだろうか。

マックは目を伏せてぽかんとつぷやいた。

「・・・が、口癖ですか?」

「え・・・?」

「欲しいもの、全部、聞いてあげると・・・、い、言うじゃないですか」

ぶっきらぽうな言葉にリプタンの眉間にしわが深く掘られる。

「お世辞じゃないよ。君の父親の城で暮らすときに劣らず豪葦に暮らさせてあげると言ったじゃないか」

マックは乾いた唾を飲み込んだ。

彼女は決して贅沢に暮らしたことがない。

欲しいものを持ったこともなかった。

手厚くもてなすべき貴婦人なんかじゃないと分かっても、こんなによくしてくれるだろうか。

自分が彼を騙しているようで、気分が悪くなった。

マックはリプタンの覗線を避けて小さくぶつぶつ言った。

「こ、これで、帰って・・・、休んでもいいですか?」

「疲れてるの?」

うなずくと彼は大股で歩いた。

折しも激しい風が吹き、木がびっしり茂る青い山の斜面を荒々しく見渡す。

マックは森のざわめきにしばらく立ち止まった。

風の中にはどこか寂しい気持ちを呼び起こす見慣れない匂いが混ざっている。

これから私は一生この匂いを嗅ぎながら生きていくのだろうか。

静かに閑散とした風光を見下ろしていたマックは、すぐにリプタンの後を追う。

リプタンは予備軍の訓練を見るために再び外に出なければならなかった。

一人で部屋に戻ったマックは暖炉の前に座って休息を取る。

ルディスが生養入りの蜂蜜茶とドライフルーツ入りのお菓子をおやつとして持ってきてくれた。

「領主様が夕方に騎士様たちをお招きして正餐をする予定だそうです。装いを新たにしましょうか?」

ルディスは、綺麗に空になった茶碗を再び満たしながら言った。

かりかりしたお菓子を口の中に押し込んでいたマックは、怪訝な目で侍女を見上げる。

「お、おめかしですか・・・?」

「はい、城主の奥様として正式に挨拶する席なのですが、もう少し派手な格好をされた方がいいのではないかと思いまして・・・」

彼女は緊張した顔で頭を下げ、言葉の最後を濁した。

「奥様、生意気なおせっかいでした。申し訳ありません」

「そ、そんなことはありません」

マックは壁に立てかけてある鏡をちらりと見た。

朝、ルディスが綺麗にブラッシングして、隙間なく編んで優雅に結い上げた髪は、風に当たって緩く乱れていた。

「じゃ、じゃあ・・・、お願いします」

ルディスはすぐにティーポットを持って部屋の外に出て、櫛や化粧水、装身具が入っている小さな箱を持って帰ってきた。

ルディスは巧みな手つきであっという間に髪をほどき、魔法のように滑らかにとかした。

いつも髪をほとんど抜いてしまうように、荒々しく梳かしていた乳母の手とは比べ物にならない腕前だ。

「ヘアピンをつけましょうか?それとも櫛をお使いになりますか」

ルディスは髪からつややかな輝きを放つまで、アクセサリーがいっぱい入っている箱を開けて見せてくれた。

マックは箱の中に入っている高価な装身具を見て目を丸くする。

宝石のついたブローチから真珠のネックレスと金の指輪、銀でできたヘアピンが赤い布地の上にきちんと置かれていた。

彼女が知る限りでは、リフタンには母親や女兄弟、その他の親戚は一人もいなかったはず。

でも、なんでこんなのがあるんだろう。

そういえば、到着した翌日、このような葦やかな衣装をすぐに用意してくれたのも不思議だった。

もしかして、かつて彼の恋人が使っていたものだったのだろうか。

「奥様、何かお気に召すものはございませんか?」

「あ、そんなことないです・・・」

マックは変な気分を吹き飛ばし、アクセサリーを選ぶことに集中する。

「ヘ、ヘアピンをねじって挿してください・・・」

「分かりました」

ルディスが髪を細かく編んで片方に丸く巻いて上げると、花模様の飾りがついた華麗なヘアピンで固定する。

そして、首には真珠のネックレスを、指にはクリスタルが入った指輪をはめてくれた。

マックは豪華に装った自分の姿を見慣れない目で見つめる。

赤く上気した頬や不安定な目つき、しっかりしていない表情が、まるで親の宝石を密かに持ってきた子供のように不器用に見えた。

「気に入らなかったら、他の装身具もお持ちしましょうか?」

ルディスは彼女の表情を見ながら慎重に尋ねる。

マックは首を横に振った。

「いえ、大丈夫です。こ、これでいい、いいです」

ルディスはほっとした顔で席を立つ。

彼女は肩に薄いショールをかけ、部屋から出てきた。

いつの間にか窓の外には黄昏が垂れ下がっていた。

 



 

「準備が終わったようですね。そうでなくても迎えに行く途中でした」

窓の外を眺めながら歩いていると、向こうから明るい声が聞こえてきた。

彼女は首をかしげた。

きちんと着飾ったロドリゴが走ってくる。

「騎士様たちが皆到着しました。早く行きましょう。旦那様がお待ちしております」

マックはロドリゴに沿って階段を降りた。

食堂の入り口に着くと、騒がしい声が聞こえてくる。

彼女は戸口に立ち、中をのぞき込んだ。

きらめく光の下に50人の男たちがぎっしりと座っていた。

彼らが囲んだ長い食卓の上には美味しそうな肉料理と杯、果物とパンが隙間なく
置かれ、瞳炉では黄金色の炎がじりじりと燃え上がっていた。

マックはしばらく躊躇った。

食堂の中には男性たちと彼らの世話をする下女たちだけ。

騎士同士で楽しむ場所に、自分が入ってもいいのだろうか。

「奥様?お入りになりませんか?」

ロドリゴが怪蒻な顔で振り向くと、マックは勇気を振り絞って中に足を踏み入れた。

すると、騒いでいた室内が一瞬静かになる。

何十組もの目が彼女に向けられていた。

「マキシ、こっちにおいで」

リプタンは凍りついている彼女に手招きした。

マックはかろうじて固い足を動かし、隣の席に座る。

メイドたちが素旱く彼女の皿に食事を並べ始めた。

「初めて見る人もいるだろうね。私の妻、マクシミリアン・カリプスだ」

彼女は緊張した目で騎士たちの顔を見た。

彼らは一様に敵対するのでもなく、喜ぶのでもない曖昧な表情をしている。

リプタンは彼らに警告を発して厳霞に言った。

「みんなに丁寧に接してほしい」

その時になってようやく誠意のない拍手があちこちから流れた。

マックは小さくよろしくと呟く。

それを最後に、騎士たちは再び食事をし始めた。

彼女は浮かぬ顔で銀の皿の上の食べ物を見下ろす。

リプタンは彼女のグラスにワインの半分を注いだ。.

「なんで見てるだけなの?もしかして、食べ物が口に合わない?J

「あ、そんなことないですよ・・・。お、美味しいです」

「じゃあ、早く食べて」

彼はフォークも使わずに皿の上に置かれた手羽元を持ち上げて大きくーロかじった。

彼女は彼の食べ方がみすぽらしいキャンプ場でも派手な食卓の前でも大差ないことに気づき、呆然とした顔をする。

リプタンはすぐに大きな肉を食べ終え、もう一方の手で新しい肉を握りしめていた。

そのおびただしい食い意地に自ずと口が開く。

彼は冷たい水のようにワインを飲み干して彼女をにらみつけた。

ぼうっとしていないで旱く食べろということだ。

(この人は私に食べ物を食べさせなければならないという強迫症でもあるのかな・・・?)

彼女はナイフで湯気の立つ肉料理を切り刻んで口に入れた。

燻製した肉には甘いソースがかかっていた。

マックは新鮮な野菜サラダを皿の上に取り、脂っこい肉に添えて食べる。

とても緊張した状態だったが、食べ物はおいしかった。

この城の料理人はクロイソ公爵域の料理人より実力がずば抜けて優れている。

「これも食べてみて。美味しいよ」

マックが食べるのを見ていたリプタンは、別の皿の食べ物を取り分けてくれた。

彼女は赤みがかったソースに漬けられた正体不明の肉を注意深く口の中に押し込んだ。

少し臭かったが、食べられないほどではない。

渡した食べ物を全部食べると、今度はリプタンが肉とジャガイモを入れて蒸した鳥肉料理を入れてくれた。

マックは目を細めてテーブルにざっと目を通す。

肉が圧倒的な割合を占めていた。

「さあ、これも食べて」

「こ、こんな、たくさんは、もう、食べられません・・・」

「何をどのくらい食べたと言うの?もっと食べて」

彼女は泣きべそをかいた。

お皿に盛ってくれるものをどんどん食べたら、だんだん胃がむかむかしてきた。

あまりにも脂っこい食事に耐えられず、結局食器を下ろすと、リフタンが眉をひそめる。

「スズメも君よりはたくさん食べるね」

「そ、そんなことないですよ。じゅ、十分に・・・、たくさん食べました」

リプタンは鼻で笑った。

彼女は彼の皿の骨を見る。

確かにこの人に比べれば、自分は鳥の子供レベルで食べるのが正しい。

「じゃ、じゃあ・・・、ど、どれくらい食べたら・・・、じゅ、十分ですか?」

ため息をついて吐いた言葉に頬がふくらむほど肉を噛んでいたリプタンがちらりとマックを見下ろした。

彼が口の中に入っているものをごくりと飲み込み、生意気に答えた。

「—羽の鶏は食べないといけないんじゃないか」

「ふ・・・、普通の女、女性は・・・、そ、そんなにた、たくさん食べられないとお、思いますよ」

「私の知り合いの女は食べたよ」

リフタンが何気なく言った言葉にマックは身をすくめた。

知り合いの女性とは誰のことを言っているのだろうか。

この人はよく食べる女の子が好きなのだろうか。

彼女は自分のほっそりした体をちらっと見下ろす。

ほとんどの男性が健塵な妻と健塵な子供を欲しがるだろう。

マックは目をぎゅっと閉じて食べ物をもう少し口の中に押し込んだ。

その姿を見て、リプタンがそっと口角を持ち上げる。

「少しずつ食事の量を増やすようにしなさい。あなたはとても弱そうに見える」

彼女はパンの切れ端を口にくわえて首を振る。

リプタンは今や隣に座っている年配の騎士と酒を交互に飲んでいた。

マックはワインを飲みながら彼らの顔を見る。

旅行に同行した騎士たち以外の見慣れない顔があちこちにあった。

長い食卓の真ん中には若い騎士たちが座って騒々しく酒を飲んでいて、下座には十六ほどに見える少年たちが、上座には四十、あるいは五十ほどに見える騎士二人が座ってリプタンに休む暇なく酒を勧めている。

マックはワインをすすりながら彼らの話を興味津々に盗み聞きした。

見習い騎士の訓練の進捗状況、農作物の収穫量、採掘された鉱物の量、最近はある魔物の出没回数が増えたそうだ、ある魔物にあるタイプの武器が一番効果的なのか・・・、彼女としては聞いたことのない話題がにぎやかに交わされた。

彼が年配の騎士たちとの対話に熱中している間、グループを成して楽しく騒いでいた騎士たちの中で一人の少年が突然席から立ち上がって叫んだ。

「カリプス卿、レクソス山脈の最後の決戦で剣技でドラゴンブレスを割ったというのは本当ですか?」

元気に話を交わしていた騎士たちの視線が少年に向かって集まった。

明るい鑓色の髪の毛を持った見習い騎士は、自分よりはるかに年上の騎士たちの間でも気後れする気配もなく明るく騒いでいる。

「「ドラゴンブレス」は自然界に存在する魔法の中でも最も強大な魔法だと聞きました!山も丸ごと飛ばしてしまう巨大な火炎をどうやって剣で割ることができるのですか?」

興奮した少年の叫び声にリプタンはあからさまな顔をした。

「私の剣技が特殊なタイプだっただけだ」

「隊長の剣技は外部の魔力を吸収して自分のものにする独特の属性を持っている。相手の魔力が強ければ強いほど、隊長の剣技も強くなるということじゃないか」

大きなコップにエールを注ぎ込んでいた騎士が突然割り込んで説明を補足した。

彼女は彼が旅行に同行したヘパロンという名の騎士であることに気づく。

「まあ、そんな奇妙な体質を持っているという点を除いても、剣の実力だけでも大将は最強だが!オシリアの鼻の高い騎士団団長も、見事に抑えてくれたということではないか」

「・・・隊長ではなく団長だ」

その向かい側で上品に静かに酒を飲んでいた金髪の騎士ウスリン・リカイドが静かに指摘する。

「いつまでその癖を直さないつもりなのか」

「大将であれ、団長であれ。余計なことで問い詰めるな」

ヘパロンは大声で鼻を鳴らした。

彼らのいざこざを見守っていた銀髪の少年は一層さらに興奮した顔で叫んだ。

「カリプス卿が神聖騎士団の団長に耐えたというのは本当ですか?どうしてそんなすごい事実が伝わらなかったんですか?」

「ドラゴン討伐を目前に控えた状況で、最高峰の2人が決闘を繰り広げたという事実が、何が自慢だと騒ぐのか」

金髪の騎士,リカイドは辛辣な口調で話した。.

「教団から派遣された討伐隊の士気が低下することを憂慮した総司令部が対決の事実を秘密にした。ややもすると、血気盛んな騎士の間で頻繁な決闘が起こるかもしれないからだ。私たちはドラゴンを討伐しに行ったのであって、剣術大会に出たのではない」

「それでも!大陸最強の騎士の間で起こった決闘について誰も知らないなんて、もったいない!きっとすごい勝負だったはずですよ!」

「武勇談はドラゴンを倒しただけでも十分だ」

行き来する対話をじっと聞いていたリプタンが無味乾燥な口調で話す。

「そして、その時の対決は正式な決闘でもなかった討伐を控えた状況なので、二人とも見た実力を出さなかったし、ドラゴン討伐で私がその聖騎士より大きな功績を立てることができたのは、純粋に魔力吸収体質のためであり、剣の実力のためではない」

「どうして謙遜なんですか?」

暖炉の近くに座ってむしゃむしゃとリンゴを噛んでいた若い騎士が揶揄う。

「勝ったのは勝ったことです。条件は同じだったじゃないですか。最初から限られた状況で勝負をすることに合意して行われた決闘だったんです。誰が見ても正当な勝負でした」

「ラクシオン卿!その決闘について詳しく聞きたいです!」

見習い騎士たちは皆目をキラキラ輝かせながら彼を見た。

ガベルは呆れたように肩をすくめる。

「ドラゴン討伐についての武勇談より、そっちの方が興味津々なの?」

「もちろん遠征の話も聞かないと!」

少年たちの熱烈な態度に騎士がほほえましい顔で笑った。

マックも興味津々な視線を送る。

父親の宴会に招待された吟遊詩人たちが騎士の英雄談を歌うのを盗み聞きしたことはあるが、実際に騎士の口を通じて冒険談を聞いたことはなかった。

 



 

若い騎士は黄金色のエールをコップいっぱいに注いで唇を潤し、出征を去った時にあったことから詳細に並べ始めた。

ガベルは非常に優れた話し手だった。

オーガとトロールの群れを退けたことから始めて、レクソス山脈に入る峡谷でバジリスク3匹に会って苦戦したことまで話を進めた頃、マックは少年たちに劣らずきらきらと目を輝かせていた。

実際に魔物を見たときは身動きもできなかったが、話で聞いて興味津々に感じられた。

あの「ガベル」という人の華やかな話術のためだろうか。

彼の生き生きとした描写に静かに感嘆していると、ふと、襟元に何かが響いた。

彼女はびっくりして首をかしげる。

リプタンが頭をひねったまま首のネックレスに触れていたのだ。

「ど、どうしたの・・・?」

マックは口をつぐんで息をのんだ。

彼の手が首筋に乗って降りてきて、深く開いたドレスの上に素肌を撫でたのだ。

彼女は当惑して他の人たちのことを考える。

みんな話に熱中しているからこっちは見ていない。

安堵のため息をついて彼の腕を押し出したが、男はびくともしなかった。

リプタンがにやりと笑って首の後ろに流れてきた髪の毛数本でいたずらをする。

彼女は体の上を流れるびりっとした感覚に背中を震わせた。

彼の手は背中をゆっくりと手探りし腰まで。

そっとお腹を撫でる手にマックは顔を赤らめた。

「リ、リフタン・・・」

「私の妻が酔ったみたいだから、先に失礼する」

騎士たちはお互いに顔を見合わせて、何かを納得したような表情を浮かべる。

マックは顔を真っ赤に染めた。

羞恥心でその場ですぐに死ぬかも知れないと思った。

「行こう」

リプタンは意地悪な一言を言う騎士をすっかり無覗して。彼女を立ち上がらせ、入り口に向かって歩いた。

マックはよろめきながら彼について食堂を出る。

所々に壁灯が光を灯していたにもかかわらず、ホールは真っ暗だった。

突然の闇に覗界が一瞬不安定に揺れる。

不透明な窓には月の光さえ染み込めず、壁には冷たい寒気が流れた。

「リ、リプタン・・・、す、少しだけゆ、ゆっくり・・・」

だんだん速くなる歩みについていけなくて彼の腕を引っ張ると、突然体がさっと宙に浮いた。

マックは悲鳴を飲み込んだ。

壁に自分の体を押し付けたリプタンが激しく唇を重ねてきたのだ。

彼女は思わず彼の腕をぎゅっと掴む。

何度も繰り返した唇だったが、触れるたびに生硬だ。

喉を濶すために存在する熱い唾液が、食べ物を味わって味わうために存在する敏感な舌が、混ざり合う感じに耐えられない。

「—日中こうしたいのに・・・、何とか我慢していたら他のやつを見ていて・・・」

喉の奥からうなるような声が聞こえてきた。

耳と喉に響くむずむずした振動に彼女は小さくうめき声を上げる。

冷たい胸が裂けるように胸を押しつぶし、ごつごつした手のひらが首の後ろ部分を包み込み、自身の方に強く引き寄せる。

彼は彼女を抱きかかえて階段を上り、キスを絶え間なく浴びせた。

彼女は落ちるかもしれないという恐怖に彼の首を必死に抱きしめた。

脳が泥になったようだった。

すべての考えがぬかるみに流れ落ち、お腹の中にねばねばと溜まっていく。

なぜ彼が触るとこうなるのだろうか。

あれほど怖がって気まずく思った人なのに。

「なんでこんなに階段が多いんだ」

リフタンはスカートの裾の下にかすかな音を立てて片手を押し込む。

マックは太ももをかきあげる手に悲鳴を上げた。

「い、嫌です・・・、こ、こんなところで・・・」

後口は彼の口の中に吸い込まれてしまう。

マックは腰を震わせながら必死に首にしがみついた。

心臓が痛くなるほどドンドンと音を立て、お腹の中はますます溶けていく。

「このまま君の中に入りたい」

彼女は暗闇の中で、もし誰かが自分たちを見守っているのではないかと恐怖に
震えながらも、さらに激しく彼の胸にしがみついた。

熱い唇が耳たぶと首、鎖骨の上を休む間もなく行き来し、硬い指は弱い肉をゆっくりこする。

彼女はいつか彼が教えてくれた通りに体を動かした。

すると、リプタンが皮膚の上に歯を立てながら、痛いほど強く吸い込む。

「今日は死んでも我慢できない」

彼は最後の階段から飛び上がり、彼女は揺れる彼の体に必死にしがみついた。

リフタンがドアを開け閉めするのとほぽ同時に,丸みを帯びた胸が明かりの下に丸みを帯びていた。

強烈な感覚が背中を襲う。

気が狂いそうだった。

「リ、リプタン・・・・」

「いやだと言わないで」

押し寄せる激情に耐えられずにもがくと、男が荒々しく吐き出した。

「私を受け入れてくれ」

明白な命令の言葉にもかかわらず、なぜか哀願のように間こえてきた。

激しい視線に心臓がドキドキする。

「私、私は・・・」

「君の中に入れるようにしてくれ。もう死にそうなんだ」

マックは黙って彼の首に腕を巻いた。

すると、リフタンがさらに強く抱きついてベッドの上に倒れた。

羞恥心と興奮、恐怖、そして奇異な期待感が胸の中に吹き荒れる。

マックは雲のようにふかふかしたシーツに埋もれて彼の唇をほんのりと受け入れた。

彼がヘアピンを抜き、丹念に編んだ髪をほどいて、ペチスカートを引き裂くように引きおろす。

裸の体に触れる冷たい空気が、一筋残っている理性を悟らせた。

「さ、先に洗わないと・・・」

「また寝ちゃうの?後で洗ってあげるから・・・」

リプタンがなだめるように耳の近くを撫でながら膝の間から腰を押し込み、爆発
しそうに興奮した自分の体を熱く重ねてくる。

隙間なく身を寄せ合っているのに、何かが満たされず、気が気でなかった。

「息が止まりそう」

マックは熱い肉の塊に目をぎゅっと閉じる。

慣れない侵入に自ずと体がねじれた。

リプタンは体を引き締めてうめき声を上げた。

「まったく・・・、あまり締め付けないで・・・」

「ご、ご、ごめんなさい・・・」

「息、長く吐いて・・・、そう、少しだけ・・・」

ワインの香りがする熱い息遣いが口の中を濡らし、汗に濡れた真っ黒な髪の毛が額の上をくすぐる。

足先までしびれる感覚が走る。

マックはすすり泣き、背中を曲げた。

体が休む間もなく揺れ、ついに全身を覆う。

猛烈な勢いで、マックは足を震わせながら彼の首に抱きつく。

「い、いやだ・・・」

自分の体じゃないように感じた。

恐ろしいほど熱い視線や、触れ合った肌から感じられる激しい心臓の鼓動、体の内側から感じられる原初的で内密な動き・・、それら全てが彼女の頭の中を占めていた。

死にそう。

こんなに甘い痛みが存在していたなんて。

全身が雷に打たれたようにぶるぶる震え、心臓が抑えきれないほと激しく動いた。

その狂いそうな感覚から抜け出そうと腰を捻ると、リプタンが彼女を抱きしめたまま体を起こす。

「あ、ああ・・・」

「もう少し感じてみて。マキシ・・・」

マックは必死にリフタンの首にしがみついた。

一度崩れ落ちた堤防は、まったく防ぐ方法がない。

マックは自制心を取り戻せず,ぼんやりと曇った目で彼の上気した顔を見上げた。

乱れた髪の毛の間から彼の真っ黒な瞳が熱く揺れている。

あんなに食べてしまっても満足していないように・・・。

「まだ寝ちゃダメだよ」

マックは目を見開いた。

ひどいピークが一晩中続いた。

 



 

12話 こんにちは、ピッコです。 今回は12話をまとめました。 ネタバレ...
各話リンク こんにちは、ピッコです。 ネタバレありの紹介となっております。 ...
【影の皇妃】まとめ こんにちは、ピッコです。 「影の皇妃」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となっております。 ...
【ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。 ネタバ...
【夫を味方にする方法】まとめ こんにちは、ピッコです。 「夫を味方にする方法」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となってお...
【ジャンル、変えさせて頂きます!】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ジャンル、変えさせて頂きます!」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...
【シンデレラを大切に育てました】まとめ こんにちは、ピッコです。 「シンデレラを大切に育てました」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介...