こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は274話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
274話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 全面戦争②
「は」
四輪馬車に乗ってノブレス通りを横切って広場に向かうベロニカの満面に苛立ちがにじんでいた。
昨日のことも爆発寸前だが、早期開場行事が終わるやいなや訪問客数が目立って減っている。
ちらほら買い物中の令嬢たちが見えたが、少数に過ぎなかった。
それさえも消費した形跡は全く見当たらない。
馬車から降りたベロニカが執務室に入ると、待っていたかのように一人の男が近づいてきた。
ノブレス通りの総管理を担当しているオルデン準男爵だった。
「公女殿下にお会いしようとボローニ伯爵、ノートン子爵、フアン男爵が朝からお待ちしています」
「3人が?」
ベロニカは首をかしげる。
3人の貴族がどんな用事で自分に会いに来たのか不思議に思った。
(ちょうどよかった。お父様が動かないなら、私があの3人を先頭にLを破ればいい)
早く考えを変えたベロニカが口元に似合わない笑みを浮かべる。
「お入りください」
許可が下りるやいなや、待機していた3人の貴族が執務室に入ってきた。
「いらっしゃいませ」
ベロニカの満面に一度も見たことのない柔らかさがにじみ出ていた。
この3人は黄金の縄だ。
うまく利用して味方につけることができれば、フランチェ大公の助けなしにLとサロンを圧迫することができる。
問題は彼らが自分を助けるのかということだが・・・。
(頭があるなら助けないはずがないじゃない?)
ベロニカは自信があった。
彼女の後についてくるフリードリヒという姓と唯一の後継者という肩書きなら、彼らを動かすのに十分だと。
今やフランチェ大公が健在だというが、歳月は避けて通れない。
その前にベロニカのコネをつかむ機会を逃すほど、3人の貴族は鈍感ではないだろう。
「お座りください」
ベロニカは今まで作ったことのない好意的な笑みで彼らを迎えた。
3人の貴族は頭を下げて礼を尽くし、ソファーに一列に座る。
「子供の頃にお会いして、しばらくお会いしていませんが、3人の顔はよく覚えています」
「・・・しばらくお会いしていないとおっしゃいましたか?」
ボローニ伯爵は首をかしげる。
ほんの数ヶ月前に見たのに、ベロニカは何年も会っていないかのように話した。
ベロニカは彼らの微妙な感情を読むことができず、自分の言うことだけを言うのに余念がなかった。
「ノブレス通りは見て回りましたか?」
「はい、そうでなくてもそのことで公女殿下にお目にかかりまして・・・」
慎重に取り出すノートン子爵の言葉をベロニカが遮る。
「まだ未完成の街なので残念ですが、少しずつ良くなるでしょう。それより3人の方が私を訪ねてこられたのがとても気になりました」
「え?それは当然・・・」
「時代を読む目をお持ちですね。だからか、3人とは仲良くしたいです」
ベロニカは、似合わない笑みまで浮かべながら、自分を訪ねてきた3人の貴族の行動を称えた。
3人の貴族は、そのようなベロニカの対応が全く理解できないのか、お互いを見ながら瞬きをする。
「失礼ですが、公女殿下」
「はい、フアン男爵。お気軽にお話しください」
「ノブレス通りをぐるっと見回すと、一部の開場距離面積が思ったより少なかったです。資金が足りなくはなかったはずなのに、一体どうしてなのでしょうか?」
質問を受けたベロニカの表情が固まった。
面積を話し、資金不足まで言及するやり方がまるで責任を追及するニュアンスに聞こえたからだ。
ちょうとど砲門が開かれるのを待っていたかのように、ボローニ伯爵とノートン子爵も質問をする。
「失礼でなければ、売上の推移について教えていただけますか?」
「全体の開場はいつ頃なのか教えていただけますか?するとしたら、状況を反転するだけの計画があるのですか?」
「そこまで」
ベロニカは呆れた表情をした。
前髪をかきあげる彼女の顔に我慢できない苛立ちがにじみ出てきた。
「今、生意気な質問だと思いませんか?」
ベロニカの脅しにもかかわらず、3人の貴族の態度は変わっていない。
「ご迷惑をおかけしましたらお詫び申し上げます。しかし、私たちは知る資格があると思います」
「公女殿下も私たちの立場で考えてみてください。じっとしていられますか?」
「責任を追及するのではありません。対策を講じようということです。ここまで非協力的に出る必要はないように見えますが?」
ベロニカが真顔になる。
彼女が生きている間、今まで貴族たちにこのような追及を受けた記憶がなかった。
一体、この者たちが何を信じてこうしているのか?
「もう少し言葉を隠した方がいいと思いますが?」
「公女殿下こそ、どうしてこうするのか分かりません」
「助けてもらったのはいつで、今になって態度を変えたんですか?」
「これでは困ります」
(この人間たちは集団で狂ったの?)
ベロニカの眉間がゆがんだ。
この程度なら分かるはずだが、空気も読めずに食おうとする行動は度を越している。
大公家の陰にあるものたちに主題把握を確実にさせておかなければならないと思った時だった。
「以前に助けてもらった時はいつですか」というノートン子爵の言葉が耳に残っていた。
「ちょっと待ってください、私が助けてもらったって?それはどういう意味ですか?」
「へえ!本当にそうなんですか?」
「酷いです。公女殿下のお願いで私たちがリアブリックの失脚まで主導したことを、もう忘れたんですか?」
ベロニカの瞳が激しく揺れる。
想像すらしたことのない発言が、フアン男爵の口を通じて出たのだ。
「それはどういうことですか?誰か理解できるように説明してください」
ベロニカが息苦しさに及ぶようだったとすれば、3人の貴族は別の意味で及ぶようだった。
「こちらこそ、どうしてこんなことをするのか分かりませんね。公女殿下が私たちに近づき、リアブリックを失脚できるように世論を集めてほしいと言っていませんでしたか?」
「私がですか?私はそんなこと・・・」
一瞬、思い当たることがあるのか、ベロニカの顔が深刻になる。
立ち止まるベロニカの態度にボローニ伯爵が怒りをあらわにした。
「それだけですか?ノブレス通りの収盆の共有を約束し、投資金を受け取っていませんか?まさか、それも知らないと言って引き離すつもりですか?」
ベロニカは呆然とする。
それだけ3人の貴族が言う言葉は、彼女さえ手に負えないほどとてつもないものだった。
「そうだと思って直筆証明書を持ってきました。ご自分の目で見てください」
ファン男爵は上着のポケットに手を入れ、封筒を取り出す。
開封して最高級の羊皮紙を取り出して文字が見えるようにベロニカに差し出した。
「こちらへ」
ベロニカは奪うようにそれを持って行き、読み上げる。
内容は、ベロニカが天文学的な金額を投資される条件で、ノブレス通りで発生する収盆を分かち合い、商圏を保障するという内容だった。
「あ、あの女・・・」
ベロニカの低い声でつぶやく手がぶるぶる震えた。
「あえて私のふりをしてこんなことをしたの?」
証明書に書かれた筆跡を見たベロニカは、目を疑った。
本当に自分が書いたのではないかと紛らわしいほど筆跡が似ていたからだ。
特に、署名欄に書かれたサインは、彼女のサインと同じ。
誰が見てもベロニカがサインしたとしか信じられない状況だった。
問題は、この状況を打開する方法がないということだ。
このように証拠が明確なのにベロニカではないとしても、彼らが受け入れるはずがなかった。
悔しかった。
ベロニカが生きながら一度も感じたことのない感情が彼女をさらに熱くし、泣きそうにさせる。
「やめなさい」
ベロニカが低く警告したが、目がひっくり返った3人の貴族は追及を止まらない。
「これでも知らないふりをするつもりですか?」
「私たち3人は天文学的な金額を投資しました。売上を知る権利はあると思います」
「いったいその大金をどこに投資したのか話してみてください」
「い・・・、い・・・」
怒りに勝てなかったベロニカの顔が真っ赤になる。
悔しいのは刹那だった。
大公家の助けなしには今の権勢も享受できなかった、ただ辺境の貴族の端くれに追及されるという事実に自尊心が傷つき、耐えられなかった。
「出て行け」
「出て行けですって?私たちは会話をするために来たのです」
「このように私たちに対してはいけないのではないですか?」
べロニカが改めて言った。
「いい言葉で話す間に出てください。今すぐ」
「公女殿下!」
3人の貴族の顔にも怒りが沸き起こる。
相手がベロニカであるため、堂々と責め立てることはできなかったが、利用だけされて捨てられたという不快感が歴然だった。
「酷いです。同じ船に乗られたという時はいつでも、どうしてこんなに口を拭けるんですか?」
「私たちがいつ責任を負えと言いましたか?現状を知る権利すらないのですか?」
「責任ですか?」
ベロニカが目をむいて3人の貴族を殺そうと睨んだ。
犯してもいないことを持って責任を負えと言うと、鬱憤が走る。
そのため、感情が激昂したベロニカの口から良い言葉が出ないのも、ある意味当然のこと。
「何の責任を負えというんですか?」
「本当にこれが公女殿下の意思なのですか?」
3人の貴族の中で最も年長者であり、影響力の大きいボローニ伯爵が意中を尋ねた。
しかし、ベロニカは対話するつもりはなかった。
「私の声が間こえませんか?会話をする気分ではないと何度も言うじゃないですか」
「後悔するでしょう」
「後悔?」
ベロニカは呆れたように笑う。
つまらないことが後悔を云々して自分を圧迫しようとする姿が胸を痛めた。
「今私を脅迫してるのですか?」
「公女殿下が、私たちをもう少し尊重してくれるよう申し上げているのです」
ボローニ伯爵の話し方は丁寧だった。
しかし、ベロニカによく間こえるはずがなかった。
「私が三人にしてあげられる尊重は一つだけです。自分の足で出られる時に出てください」
ベロニカはドアを指差した。
これ以上言葉を混ぜたくないという意味だ。
「そうおっしゃると、これ以上申し上げる言葉がありませんね。明日また伺います」
「そうですか。私が明日時間があるか分かりませんが」
ボローニ伯爵の眉がびくびくと動いた。
その言葉は、すぐ来ても会ってくれないという言葉に他ならない。
「本当に・・・、分かりました。それが公女殿下の意思と知って退きます。行きましょう」
ボロニー伯爵が礼儀上、ぺこりとお辞儀をして背を向ける。
ノートン子爵とフアン男爵は不満そうな目でベロニカをにらみつけ、冷たく執務室を出てしまった。
「L!私のふりをして一体何をしでかした!?」
自分の性質に勝てなかったベロニカが机の上にあったものを全部掃くように投げ捨てる。
それでも飽き足りないのか、いきなりはさみを逆さまに握った。
ベロニカははさみでソファを狂ったように打ち下ろす。
「L!死ね!死ね!死ね!」
皮が裂けて、その中からガチョウの毛がざあざあと抜け出て飛び散った。
目が回ったベロニカにとって、それらはLの肉であり血だった。
徐々に追い込まれていくベロニカ。
これから更に追い込まれていくことでしょう。
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