こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は279話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
279話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 皇帝との謁見④
エレナは礼儀正しくブローチと文化表彰状を持って御前を出る。
シアンも皇帝リチャードが休めるように席を避けた。
「皇居に来たのも初めてだから、お茶でも一杯飲んで帰ろうか?」
「初めてですか? 」
シアンの提案にエレナは目を丸くして瞬きする。
皇妃選抜式に参加するため、ベロニカの身分で数回皇居を訪れたじゃないか。
「公式的なLの皇居訪問は、今回が初めてだ」
「あ」
「だから皇居であなたと飲む初めてのティータイムを許してほしいんだけど」
エレナは苦笑いした。
「殿下にこんな言い草があるとは、初めて知りました」
「君の前だし、断るかと思ってはらはらするから」
「断るわけがないじゃないですか」
エレナの好意的な答えに、シアンの表情は柔らかくなる。
もともとこんなによく笑っていた人だったのかと思うほど印象が違った。
「こっちへ行こう」
「え?」
シアンは手を伸ばしてブローチの入った箱と文化表彰状を持つ。
か細いエレナの手で持つには、これさえも重いと思った配慮だった。
御前を外れた二人が向かった先は本宮裏の庭。
本宮と西宮、東宮と繋がる後園とは別に、人工的に造成された場所で、小さくてこぢんまりとしたが、ゆりかごのように包み込む安らかさがある場所だ。
シアンは紅茶を一口飲んでグラスを置くエレナを見て言った。
「ブローチは私も考えられなかった。君が負担を感じたなら、陛下に代わって私が謝罪する」
「お詫びなんて、とんでもない。陛下の誠意ですもの。ですが・・・」
エレナはかすかな目でティーカップをいじくり回した。
「私のものではないかも知れないので、慎重になるだけです」
「そうかな?」
シアンは考えをかみしめながら言葉を慎んだ。
気にならないからではなかった。
あえてそれをかけて彼女を困らせたくなかった。
今まで通り、彼はずっと待つことを選んだ。
日常的な話をしていたエレナが慎重に話を切り出した。
「何も聞かないのですね。陛下と私が何の話をしたのか」
「不便な席だったのか?」
「いいえ。こんな言葉、どう間こえるか分かりませんが、私は陛下が難しくありません。いい方じゃないですか」
シアンは黙って茶碗を口元に持っていく。
茶碗に隠された口元にはかすかな笑みがかかっていた。
相手は、帝国を率いる皇帝だ。
一言も口にすることすら難しい相手だった。
そんなリチャード皇帝が難しくなく良い方だと話してくれる女性を、シアンは嬉しく思っていた。
「それでいい」
「殿下」
「私は何も聞かない。あなたが困るのを望まないから。私に必要な話なら先にしてくれるだろう」
エレナはまだ適応できていない。
シアンのこんな姿はずっと見てきたが、相変らずぎこちなかった。
過ぎた人生の記憶のためじゃなくて、何を信じてこんなに自分を待っているとは驚きだった。
「エレナ」
「はい、殿下」
「君にティータイムを頼んだのはそのためではない。複雑な話はさておき、少しでもあなたがここで休めるようにしてあげたかった」
いつも感じるが、シアンは自分自身よりエレナを先に考えている。
その真心はエレナの緊張で硬直していた心に小さな振動を与えるのに十分だった。
邸宅の廊下を歩くベロニカの靴底がけたたましく広がった。
数十人以上の侍女と使用人たちは、頭を下げたまま、早く通り過ぎることを願う。
「ドアを開けなさい」
フランチェ大公の執務室に到着したベロニカは、溶岩のような感情を抑えきれなかった
「大公殿下が誰も入れないようにと・・・」
侍女長が今度も立ちはだかったが、ベロニカは,頑としていた。
侍女長を押し倒し、ドアを開けて中に入る。
「これはどういうことですか?私は全く分からないことです」
荒い息を吐きながら入ってきたベロニカを見て、フランチェ大公が低くため息をついた。
その隣には、失脚したアセラスに代わって、大公家の全般的な実務を担当しているアルディールの姿が。
「自重しろと言ったはずだが?」
「私の仕事です!あの女があえて私の名前と身分を持って酷い仕業をしておいたのに、どうして黙っているんですか?」
「ベロニカ」
フランチェ大公が言い聞かせるように名前を呼んだが、炎に油をかけたようにベロニカの激昂はなかなか治まらない。
「社交界で私の評判がどうなのかご存知ですか?物的で破廉恥なだけでなく、貴族たちの背筋を抜く女だそうです。L、あの狂った女のせいで私がこんな侮辱まで受けなければなりませんか?」
ベロニカは自分ではコントロールできないほと神経質だった。
血統に対する自負心と権威意識で固く団結していた彼女が、Lが繰り広げたことで後ろ指を差されて悔しくて怒りが爆発した。
「お前だけではない。あの女が犯した仕業で、貴族たちの反発が激しい」
「そうです、公女殿下。こちらの実情も今は良くありません」
フランチェ大公の言葉に、アルディールも沈鬱な口調で言葉を付け加えた。
ボロニ伯爵、ノートン子爵、ファン男爵がベロニカが書いてくれたという直筆証明書を証拠に、各地域の貴族の世論を集めて「上納金を払わない」と反発しているのだ。
甚だしくは、無差別的な上納金引き上げに不満を吐露する糾弾の声につながった。
ベロニカが書いてくれたとされる証明書は偽造本であり、天文学的なお金を投資された証拠もないと鋭く対立したが、無駄だった。
これまで火傷したことが多い貴族たちが、大公家の言葉を信じることができないと言ったのだ。
上納金が切れると、大公家の財政はさらに悪化する。
フィネチア栽培地の消失でアヘン事業が崩壊した後、ノブレス通りを最後の砦と考えたが、それさえも事情が良くなかった。
裏金で保有していた芸術品の価値も見違えるほど下がっている。
もちろん、百年以上保管されて価値の高い作品も多数あったが、サロン文化が花開き、昔のものより新しいものに対する需要が増え、今後数十年はそれ相応の価格を受け取ることさえ難しく見えた。
初代ロゼット公爵がフリードリヒ家を開いた後、多くの危機があったが、今回のように最悪に追い込まれたのは初めてだ。
「こんな時こそ決断が必要なのではないですか?いつまで手をこまねいて見守るつもりですか?お父様ができないなら、私がやります」
「待て」
「いつまでですか!」
耐えかねたベロニカが要求したが、フランチェ大公は黙殺した。
「バスタージュ家を手に入れるまで」
フランチェ大公の発言にベロニカの目が大きくなる。
バスタージュ家はどんな家なのか?
大公家の傍系出身であるスペンサー子爵が率いる新興貴族の家門だ。
たとえ家門の歴史は短くても新興貴族の首長と呼ばれるほど政治的立場と財政、そして武力までしっかりしている。
「レンが死んだという噂は本当ですか?」
「調べた限りではそうです。シュタイン卿の矢を浴びて生きた人は今までいませんでしたから」
アルディールが確認すると、ベロニカの顔が明るくなった。
いとこ同士とはいえ、レンと彼女は幼い頃から仲が良くない。
傍系のくせに、フリードリヒ家の直系後継者である自分に、ことあるごとに喧嘩を売って食べようとする行動が気に入らなかった。
ベロニカが静まると、フランチェ大公が論点に戻った。
「皇室の方は?」
「多方面に手を打っておいたんですが、皇帝が意地を折るかどうか分かりません」
「私、フランチェ大公が、誰かの許可を得る必要はない」
フランチェ大公は、皇帝まで足元に匿いたかのように傲慢に話した。
「この帝国の空」と称する皇帝まで侮る遥かに高い男がまさに彼だったからだ。
「もう連れている必要はないね。スペンサ—子爵を家に帰せ」
いよいよフランチェ公爵の反撃?
スペンサー子爵は無事なのでしょうか?
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