こんにちは、ピッコです。
「言葉遣いには気をつけてください、聖女様!」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
29話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- バグ解除の条件は?
「仲良くなると、やたらと褒めてくるタイプっているじゃない。」
「え? いきなりどうしたんですか……?」
植木鉢に水をやっていたジェインが、私のほうを振り返った。私はソファに寝転がったまま、思わずへらっと笑ってしまった。
「いや、なんていうか……。」
今日の昼間に会ったヒルデオンは、まるで人懐っこい大型犬のようだった。やたらと私の顔を褒めてくる。本当に油断ならない人だ。
*(「ロエラ」と呼んでいいと言ったのがきっかけだったのかな。)*
それとも、呪いについて話し合ったことで、一気に距離が縮まったのだろうか。理由はともかく、彼が私に心を開いてくれたのは間違いない。それからというもの、照れたように微笑みながら、優しい言葉を次々とはけてくるのだ……。
*(ヒルデオンさん。今までそんなふうには見えなかったのに、あなたって本当に恐ろしい人ですね。)*
それは本当に危険だった。特に心臓に悪い。
*(まあ、そのうち慣れるでしょう。)*
これから何度も会ううちに、自然と慣れていくはずだ。私は頭の中に何度も浮かぶヒルデオンの姿をぶんبんと振り払った。そのとき、ジェインが話しかけてきた。
「それより、お嬢様。大変なことに気づいてしまいました。」
「え、何?」
「その……完成式の日、お嬢様にはエスコート役が必要ではありませんか?」
「たぶん、そうね。」
「そんなにのんびりしている場合じゃありませんよ。完成式はもうすぐですから。」
「完成式まで、もうあと数日しかないんですよ!」
私がのんびりしているので、ジェインはもどかしそうに胸を叩いた。
「今から探し始めても遅いですよ。みんな、もう一緒に行く相手は決まっているでしょうし……。」
「私にはいるけど?」
「……いるんですか?」
私があっさり答えると、ジェインは目を丸くした。
「うん、いるよ。」
すると今度は、ジェインが目を細める。
「まさか……若様(ヒルデオン様)ではありませんよね?」
「……まさか。あの人はヘレナと一緒に来るでしょう。」
「ですよね。私も思わず変なことを聞いてしまいました。」
ふう、と安堵のため息をついた。
「それで、どなたとご一緒されるんですか?」
「皇太子殿下よ。」
「ああ、皇太子殿下ですか……」
あまりにも淡々とした返答に、ジェインも納得したようにうなずいた。――だが、それも束の間。
「えっ!? 誰ですって!?」
驚いた? 私も驚いたわ。
昼間、ヒルデオンと別れる前に、彼が私へ静かにこう提案してきたのだ。
「もし、完成式の日をご一緒するお相手がまだ決まっていないのでしたら――」
そのとき初めて、私はパートナーの存在をすっかり忘れていたことに気づいて驚いた。
*(そういえば、私ってパートナーがいないじゃない。)*
――……まだですよ。
――でしたら、私ではいかがでしょうか?
――殿下が、私のパートナーになってくださるんですか?
――ちょうど私も、まだ相手が決마っていませんので。
*(あっ、そういえば。)*
ヒルデオンはもともと社交行事にはあまり参加しない人だった。だから彼も、私くらいにはこういう手続きや慣習には詳しくなかったのだろう。
*(殿下もタイミングを逃しちゃったんだな。)*
なんとなく親近感と仲間意識が湧いてきた。……いや、もしかして理由はそれなのかな。私は周囲をさっと見回すと、身をかがめるようにヒルデオンへ合図した。ヒルデオンはためらうことなく身をかがめる。私はつま先立ちになって、彼の耳元で小声で尋ねた。
「……もしかして、それって呪いのせいなんですか?」
「…………?」
だが、予想に反してヒルデオンはきょとんとした表情を浮かべた。彼は、「呪い」と「完成式のパートナー」がどう関係あるのか分からない、という表情をしていた。
――私がそばにいると呪いが弱まるとおっしゃっていましたよね? だから私を隣に置こうとしているんですか?
――違います。
――違うんですか?
――ええ、違います。
*(じゃあ、どうして私に……?)*
*(本当に、ただパートナーが必要だっただけなのかな?)*
何にせよ、ヒルデオンのパートナーになるというのは、悪い選択ではないように思えた。
「――では、よろしくお願いします。」
こうして、どこか抜けている二人組が誕生した。悪女と、不幸の皇太子。なんとも先行きが不安になる組み合わせだ。
「皇太子殿下とご一緒されるんですね……」
「どうして? 心配?」
「殿下はそんなに怖いお方では……」
「あ、いいえ。むしろ、とても良いことだと思います!」
……うん、そうよね。うちのジェインは、噂に流されないしっかりした子だ。私のことを「かわいそうなお嬢様」としてずっとそばで支えてくれている時点で、その人柄はよく分かるのだから。
「若様よりも、皇太子殿下のほうがずっといいですよ。なんとなく、あちらのほうが脈がありそうですし……。」
「……それはそうね。」
「当日は私が全力でお嬢様を素敵にお仕立てします! ちょうどドレスも届きましたし、さっそく試着しましょう!」
「もう?」
「はい、もうです。」
ジェインはにっこり笑いながら、有無を言わせぬ口調で答えた。とても断れそうな雰囲気ではなく、私は大人しく立ち上がった。
*(それにしても、さっきはどうしてバグが消えたんだろう?)*
ヒルデオンのパートナーの申し出を受け入れた、その瞬間――。
チリン!
**<ヒルデオンのバグが解除されました!>**
**ヒルデオンのバグ解除(2/10)**
そんな通知が表示された。
*(バグがあったのは分かったけど、何が解除されたのか全然分からない。)*
*(基準がまったく読めないわ。)*
せめて、どうしてバグが解除されたのかくらい分かればいいのに。そう思いながら首をかしげていると――
「お嬢様、お急ぎください!」
遠くからジェインが私を呼ぶ声が聞こえてきた。
*(まあ、いいか。)*
とりあえず、結果が良ければそれでいい。
「うん、お願い。」
—
「つまり、聖女様にパートナーを申し込まれたのですか?」
「ああ。」
殿下は今、殿下のお母様の親友にパートナーを申し込んだことになります。ヘスティンは、喉元まで出かかった言葉を必死に飲み込んだ。なにしろ、皇妃様からもらった“ボーナス”が、まだカバンの中で眠っていたのだから。
「まあ、とにかく良かったですね。聖女様がそばにいてくだされば呪いも和らぎますし、いろいろな意味で最善の選択だったと思います。」
その瞬間、ヒルデオンの表情が険しく曇った。
「どうしてそんなに目を見開いているんですか、殿下?」
「その敬称さえ付ければ、失礼にならないと思っているだろう?」
「『とても格好よく目を見開いいていらっしゃいますね』という意味です。」
「……もういい。とにかく、そういう理由ではない。」
「では、ほかに理由があるのですか?」
「ほかの理由」という言葉に、ヒルデオンは口を固く結んだ。何それ、はぐらかす気満々じゃない。なぜだか分からないけれど、少し胸の奥がもやもやした。
「理由は分かりました。それでは、そろそろ当日に着る服も決めなければなりませんね。」
そう言うと、ヘスティンはハンガーラックを引いてきた。そこには赤・オレンジ・黄・緑・青・藍・紫・黒・金――全部で9色もの正装が並んでいた。
「九着も用意しておいて、まだ決めていなかったんですか?」
「決めた。」
「……え?」
昨日までは「まだ待つ」と言っていたのに、今日はもう決めた?
「何色にされるんですか?」
その問いを聞いたヒルデオンの脳裏に、ロエラの顔が浮かんだ。
「せっかくパートナーになったのですから、衣装の色も合わせられるといいのですが……もう準備は間に合いませんよね?」
「どんなドレスをお召しになる予定ですか?」
「私ですか? 白です。神殿の行事ですし、白が一番ふさわしいと思いまして。」
記憶の中のロエラが、にこりと微笑んだ。その笑顔を思い出した瞬間、ヒルデオンの耳まで赤く染まった。
「白だ。白にしよう。」
*(地面に立っているのに、なんだか足元がふわふわする。)*
妙に落ち着かない気分だ。ヘスティンは冷めた目でノートに **〈白いスーツ〉** と書き留めた。
—
ついに完成式当日の朝を迎えた。約二か月にわたる大事業が、ついに実を結ぶ日だ。
*(私の大きな金づる……!)*
胸が高鳴り、自然と朝早く目が覚めた。そして、そんな私を待ち受けていたのは――。
**<猛暑。容赦のない完成式?>**
**【夏の訪れとともに、かつてない暑さが猛威を振るっている。】**
「こういう時は、屋外での活動は控え、暑さによる体調不良に十分注意しなければならない。このような日に屋外行事を開催するのは、配慮に欠ける行為と言わざるを得ない。皆がお互いを思いやり、より暮らしやすい社会になることを願う。」
まるで公共広告のような新聞記事だった。そして、おそらくこれは私を狙った記事だ。一見すると、ただ天候への注意を呼びかけるだけの、ごく普通の記事に見える。だが、この記事が今日掲載されたことに意味があった。よりによって屋外行事が開かれるその日に、「屋外行事は控えるべきだ」と訴えているのだから。
*(これはどう見ても、私を狙い撃ちにしているってことよね。)*
しかも、やたらと「配慮」という言葉を強調しているのも、その証拠だった。屋外での活動は控えましょう、くらいならまだ分かる。それなのに、わざわざ「配慮」まで持ち出すなんて……。
*(私を「配慮のできない人」に仕立て上げたいわけ?)*
どうやら、この新聞社は最近ようやく良くなってきた私の評判を、また悪い方向へ戻したいらしい。いったい私とどんな恨みがあるというのだろう。私は目を細めて、その新聞社の名前を確認した。すると、不思議なことに、その新聞社の名前には見覚えがあった。
*(あれ……どこかで見たことがあるような……。)*
*(あ、思い出した。)*
ここは原作で、デモスが世論操作のために利用していた新聞社だった。たしか、新聞社の社長はケリアン公爵と親しい人物だったはず。原作では、デモスは主にシルビアの評判を上げるため、この新聞社を通して記事を出していた。その一方で、偽の聖女であるロエラの正体を暴くためにも利用していた。
*(ということは、この新聞記事もデモスが意図的に出させた可能性が高いわね……)*
私は冷めた目で新聞をたたみ、脇へ放り投げた。
*(相変わらず陰険なやつ。)*
これだけ見たら、私があントンかに何かひどいことでもしたと思われそうだ。
*(こっちは何もしていないのに、どうして向こうから勝手に絡んでくるんだろう。)*
*(わざわざ天気を話題にしているってことは、完成式でも「暑さ」を口実に文句をつけるつもりじゃない?)*
まさか……と思いつつも、あり得そうな気がしてきた。相手は、しつこさでは右に出る者のいないあのデモスだ。私は半眼になって窓の外を見た。雲ひとつない真夏の青空から、まぶしい日差しが降り注いでいる。
「やっぱり、前もって準備しておいて正解だった。」
散歩をするには絶好の天気だった。
1. 皇太子ヒルデオンからのパートナーの誘い
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意外な提案: ヒルデオンから完成式のパートナーを申し込まれた主人公(ロエラ)。お互いまだ相手が決まっていなかったことがきっかけだった。
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バグの解除: ヒルデオンの提案を受け入れた瞬間、システム通知が鳴り響き「ヒルデオンのバグ解除(2/10)」が達成される。
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衣装の決定: 側近のヘスティンにからかわれつつも、ヒルデオンはロエラのドレスの色(白)に合わせて、自身も「白いスーツ」で行くことを決意する。
2. 完成式当日の朝とデモスの嫌がらせ
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猛暑を逆手に取った世論操作: 当日の朝、屋外での活動や暑さへの配慮を過剰に訴える新聞記事が掲載される。これはロエラの評判を落とすため、デモスが親交のある新聞社を使って仕掛けたものだった。
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原作の陰謀: その新聞社は原作でもデモスが世論操作(シルビアの持ち上げやロエラの正体暴露)に利用していた場所であり、完成式の場でも「暑さ」を口実に難癖をつけてくることが予想された。
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主人公の冷静な対応: 嫌がらせの意図に気づきつつも、ロエラは「前もって準備しておいて正解だった」と冷めた目で受け流し、万全の構えで当日を迎える。