シンデレラを大切に育てました

シンデレラを大切に育てました【226話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「シンデレラを大切に育てました」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【シンデレラを大切に育てました】まとめ こんにちは、ピッコです。 「シンデレラを大切に育てました」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介...

 




 

226話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 皇太子妃

やがて首都では、ロレナ・クレイグが婚約を解消したという噂が広まり始めた。

人々は「どうせ破談になるのだから、せめて最後の自尊心だけでも守るために婚約を解消したのではないか」と噂したり、また別のところでは「冷酷な手段でライバルを妨害しようとして王子に見つかり、その罰として半ば強制的に婚約を解消させられたのだ」と囁かれたりもした。

どちらも真実かもしれないし、虚偽かもしれない。

しかしクレイグ侯爵家はもちろん、バンス家や王宮のどこからも、その噂について一切口を開かなかった。

そのおかげで噂は自然に鎮まり、城ではアイリスが呼び寄せられた。

「ようこそ。」

もちろん、呼ばれたのはアイリスだけではなかった。

バンス家の人々と、彼女を推薦したウィルフォード男爵家も共に招かれていた。

国王と王妃は案内役を務めた。

入ってきた5人を、王妃はにっこり微笑んで迎えた。

特に王妃はアイリスを気に入った。

試験に最も優秀な成績で合格した点も好ましかったが、それ以上に、アイリスの考え方や行動が王妃の心に響いたのだ。

少し頼りない自分の息子を立派に導いてくれたお嬢さん。

この程度の能力があれば、王太子妃として十分やっていけるだろう。

身分が多少低くても構わないと王妃は思った。

「お招きいただき、ありがとうございます。」

アイリスが代表して挨拶し、両手を丁寧に揃えた。

その完璧な所作に、王妃の顔に再び笑みが浮かぶ。

王妃は伴侶とウィルフォード公爵を見やり、用意された席へと手を差し伸べながら言った。

「さて、王太子妃の発表をする前に、少しお話ししたくてお招きしましたの。」

王妃の言葉に応じて、バンス家の人々とダニエルが席に着いた。

するとまるでそれが合図であったかのように、脇の扉から使用人たちが料理を運び入れてきた。

「娘さんを本当に立派に育てられましたね、バンス夫人。」

食事が始まって、王が最初に口にしたのは称賛の言葉だった。

透明な杯に入った飲み物を口にしていたミルドレッドの瞳が一瞬丸くなり、すぐに柔らかな笑みを浮かべて答えた。

「お褒めいただき、ありがとうございます、陛下。」

「実に素晴らしい娘だ。すぐに王太子妃になっても、何ひとつ不足はないだろう。」

国王の言葉に、ミルドレッドの目が細くなったが、すぐに元の表情に戻った。

しかし彼女は何も言わなかった。

「不足はない」という言葉が、妙に含みを持って聞こえたからだ。

黙って微笑むだけのミルドレッドの態度に、国王の顔にも笑みが浮かんだ。

彼は、ミルドレッドのこうした空気を読む力を好ましく思っていた。

「以前、私に爵位をくれと言ったな。」

一瞬間を置いた王は、再び口を開きそう言いました。

その言葉に、アイリスとリリー、アシュリーの手が止まる。

しかし、アイリスはまるで何事もなかったかのように平然とした表情で食事を続け、リリーは慌てて杯を取り顔を隠した。

その様子を見て、王妃はどうしてよいか分からず戸惑うアシュリーに気づき、にっこりと微笑んだ。

アイリスよりわずか二歳年下のアシュリーですが、まだ幼さが残る。

彼女は、もしかしたら国王が母親に怒ってしまったのではないかと心配している様子が見えた。

ミルドレッドは毅然とした表情を浮かべていた。

「はい、陛下。」

「その願いは、今も有効なのか?」

「お与えいただけるなら、ありがたく頂戴いたします。」

ミルドレッドの答えに、国王の顔に笑みが浮かんだ。

彼は手を上げて顎を撫でながら、再び尋ねた。

「そなたの娘は間もなく王太子妃となり、そなたの隣にはこの国に大きな影響力を持つ男がいる。それだけでは不満なのか?」

国王の問いに、ミルドレッドの動きが止まった。

彼女は背筋を伸ばし、顎を引いてから国王を見据え、ゆっくりと口を開いた。

「娘が王太子妃になるのは大変な名誉ですし、夫がこの国に大きな影響力を持っているのであれば、それは幸運なことです。ですが、陛下――この二つは、私のものではございません。」

「違うと?」

ミルドレッドの返答に、王はもちろん、王妃や子どもたちの顔にも困惑した表情が浮かんだ。

ミルドレッドはダニエルと子どもたちを振り返って微笑み、再び王と王妃を見つめて口を開いた。

「陛下、私は二度の結婚で侯爵夫人となり、また事業家の妻でもありました。しかし、その二人とも亡くなった今、私に残っているものが何かありますでしょうか?」

ない。何もない。

ミルドレッドはリベラ侯爵夫人の地位も、バンスという事業体も持っていない。

彼女が手にしているのは、自らの能力で得たものだけだ。

金も、家族も、尊敬も、愛情も。

全ては彼女の力で勝ち取ったものであった。

ミルドレッドはテーブルの上に手を置き、きっぱりと言った。

「陛下、私は自分のものを持ちたいのです。家族を一族の死や縁によっても、私から奪われることのないもの。私が望むなら、死ぬまで私のものであるべきものです。」

ミルドレッド・バンスという名の後ろに誰かの妻という肩書きではなく、爵位そのものを望んでいた。

もしダニエルが死ねば、ミルドレッドはもはやウィルフォード伯爵夫人ではなくなり、アイリスが死ねば、彼女はもはや王太子妃の母ではなくなる。

誰かの死に関わらず、完全に自分自身の力を手に入れたいのだ。

ミルドレッドの言葉に、国王と王妃の目が大きく見開かれた。

二人は互いに視線を交わしたあと、同時にアイリスへと視線を向けた。

そして国王がアイリスに尋ねた。

「バンス嬢、そなたの母君が爵位を望んでいることについて、どう思う?」

その質問が来るとは予想していたが、こうも直接的に尋ねられるとは思っていなかったアイリスの顔が、戸惑いで赤くなった。

彼女は母を一度見やり、落ち着いた口調で言った。

「実は、王妃候補になったと聞いたとき、断らなければと思ったんです。」

母の要求にどう思うかという答えではなく、全く別の話がアイリスの口からこぼれた。

王と王妃は再び顔を見合わせたが、アイリスが話を続けるのを妨げず、黙って聞くことにした。

「そうなの?」

「私、自分には王妃候補になる資格がないと思っていたんです。私はリ、王子様のことは本当に大好きですけど、王妃になるのにふさわしい条件を持っているわけじゃありませんから。」

なるほど、と王妃は思った。

それでようやく、アイリスが他の候補者たちに比べて条件がやや劣っていたことを思い出したのだ。

試験をあまりにも見事に通過したため、そのことをすっかり忘れていたのだった。

予想していた部分だった。

「そのとき悩んでいた私に、母はこう言ったんです。人はより良くなるために欲を持たなければならないと。それが他人に害を与えるものでなければ、当然のことであり、良いことだと。」

国王と王妃は、ようやくアイリスが何を言おうとしているのか察した。

アイリスはわずかに和らいだ表情で続けた。

「母が爵位を望んでいることを理解しています。そして尊敬もしています。」

国王の目が細くなった。

彼は身を乗り出し、アイリスに尋ねた。

「ではバンス嬢、もしそなたが王太子妃となり、いつか王妃となったなら、この国に爵位を授けられる女性が現れる可能性がある、ということか?」

その瞬間、食堂内の空気が凍りついた。

給仕をしていた侍女たちはもちろん、リリーとアシュリーまでもが目を見開いた。

王と王妃は、じっとアイリスを見つめ始めた。

二人はあまりにも緊張していて、呼吸することすら忘れてしまっていた。

アイリスも同じく緊張していたが、その問いについてはすでに十分に考えを巡らせていた。

彼女は息を吸い、肩を伸ばすと、にっこり笑って言った。

「そうかもしれません。」

そうか?

国王は何も言わず、表情も変えなかった。

肯定も否定もしない態度に、アシュリーは無意識にリリーの手を握った。

そのとき、アイリスが再び口を開いた。

「ですが、初めて女性の貴族を任命し、歴史に名を残す人物は陛下になりますわ。」

アイリスの言葉に、固まっていた食堂の外の使用人たちが互いの顔を見合わせた。

――そうだ、その通りだ。

この国は歴史的に、女性に爵位を与えた前例がない。

当然、記録に残ることになる。

それは国王の名も、何らかの理由で遠い未来まで知られることになるだろう。

そのとき、侍従が主人と客人が使う扉を開けて告げた。

「ジュセフ・アドリアン王子殿下がお越しになりました。」

そういえば、この場にいないのはリアンだけだった。

リリーとアシュリーは互いに顔を見合わせ、ミルドレッドとアイリスが立ち上がろうとした瞬間、国王が言った。

「座っていなさい。ジュセフは用事があるので、全部終わってから来ると言っていた。」

つまり、わざと遅れて呼ばれたということだ。

リアンがいない場で、先ほどの質問をしたかった、あるいは遠慮なく言いたかった、ということにアイリスの目が見開かれた。

そしてそれは、リアンも同じだった。

彼はテーブルへ歩み寄り、思わずアイリスを見つめた。

「大丈夫か」と問うような表情を浮かべて。

アイリスはにっこり笑う。

その間、アシュリーとリリーは、王と王妃がリアンを「ジュセフ」という名で呼んでいることにクスクス笑っていた。――なんだか野暮ったい。

「あなたのお父上が初めて女性貴族を任命したとなれば、歴史にどのように名を残すかという話をしていました。」

王妃の説明に、ダニエルは目を細めて微笑んだ。

そんな彼を振り返ったミルドレッドが、にっこり笑うと、ダニエルの顔にも笑みが浮かんだ。

「きっと良い形で残るでしょう。」

席に座りながら、リアンがそう答えた。

そうか?

王は興味深そうな表情を浮かべ、王妃は目を丸くした。

むしろ驚いたのはリリーとアシュリーだった。

二人は、リアンがそんなふうに答えるとは思っていなかったため、目を大きく見開いたまま何も言わなかった。

「どういう意味だ?」

父の質問に、リアンは喉を潤すために飲んでいた水のカップを素早くテーブルに置き、落ち着いた態度で答えた。

「父上の後にも女性に爵位を与えるなら、父上は時代を先取りした先駆者として名を残されるでしょう。」

王の眉が上がった。

興味深そうに問いを続けた。

「では、その後に爵位を受ける女性がいなかったら?」

リアンはまばたき一つせず答えた。

「父上は男女を分け隔てず、正当に報いるべき者に位を与えた公平な王として記録されるでしょう。」

どこからともなく拍手の音が響き始めた。

リアンの答えに感心していたアイリスは、その音につられて振り向き、感嘆の表情で拍手しているアシュリーとリリーを見つけた。

「ご、ごめんなさい。」

人々の視線を浴びたアシュリーは、顔を真っ赤に染めながら手を下ろした。

しかし、穴があったら入りたいといった表情の彼女とは対照的に、リリーは堂々としていた。

ヘザーは、知らないふりをしていたアイリスまでもじっと見たあと、くすっと笑いながら夫に身を寄せた。

「やっぱり面白い家族ですね。」

 



 

その二日後、正式にアイリス・ヴァンスが試験に合格し、王太子妃に決定したという知らせが首都に伝えられた。

同じく、辺境のジヴン邸にも、アイリスが王太子妃に決まったことを告げる電報が最後に届いた。

「……リアン?」

城から来た馬車を見て出てきたアイリスは、馬車から降りた男性を見て思わず驚きの声を上げた。

当然、いつも来る従者が来たのだと思っていたのだ。

しかし、いつもの従者ではなく、それはリアンだった。

きちんとした装いの彼は、本当に王子のように見えた。もちろん実際に王子なのだが。

「ごきげんよう、アイリス嬢。」

リアンはいたずらっぽく微笑み、胸に手を当てた。

そしてアイリスに向かって礼儀正しく挨拶をした後、言葉を続けた。

「ジュセフ・アドリアン・シャルレオールと申します。」

「リアン、何してるの?」

呆れた表情で尋ねるアイリスに、リアンは答えなかった。

代わりに、ポケットから今やアイリスにも見覚えのある小箱を取り出し、彼女の前で片膝をついた。

「リアン?」

何をしているの?

子どもっぽくふざけていたアイリスは、リアンの顔に浮かんだ真剣な表情に口を閉ざした。

今の彼の行動は冗談ではなかった。

この瞬間まで、リアンの頭の中で何度もシミュレーションされていた場面だったのだ。

「アイリス・ヴァンス嬢、この国の王太子妃になっていただけますか?」

その瞬間、アイリスの口がぽかんと開いた。

城からの使者が来たのかと思い、後ろからついてきたリリーとアシュリーも同じように固まった。

二人は口を開けたままリアンを見つめ、互いに顔を見合わせると、すぐさま体を翻し、家の中へ駆け込んで叫んだ。

「お母様!」

おかげで、アイリスは我に返った。

驚いた表情は、すぐにぱっと笑顔に変わった。

まさか、彼がこんなふうに聞いてくれるなんて。

彼が何をするつもりなのか分からなかった。

ただ、王子妃になったことを祝ってくれるのだと思っていた。

アイリスは、リアンが差し出した小箱を手に取った。

だがそれを渡す前に、リアンが再び口を開いた。

「アイリス、君が僕と結婚してくれたら嬉しい。」

え?

アイリスの顔に再び戸惑いの表情が浮かんだ。

彼女はリアンを見つめ、ためらいがちに尋ねた。

「なんでまた聞くの?」

リアンの表情が少し和らいだ。

彼は立ち上がりながら答えた。

「だって、前に君に聞いたときから時間が経ったから。君の気持ちが変わっているかもしれないだろう?」

「変わってない。」

「じゃあ、僕と結婚してくれる?」

リアンの真剣な問いかけに、アイリスの頬が赤く染まった。

彼女は、初めて会ったときよりもずっと大人びたリアンの顔を見つめた。

初めて会った頃に比べて、彼は大きく変わったと思った。

「もちろんよ。」

アイリスの返事に、リアンの顔にも笑みが浮かんだ。

しかしすぐに、また真剣な表情で言った。

「これからも、ずっと君の意見を聞くよ。もし僕に伝えたいことがあれば、いつでも言ってほしい。」

リアンの「君の意見が大事だ」という言葉に、アイリスの顔に微笑みが広がった。

自分のことを大切に考えてくれているのが嬉しかった。

アイリスはそのまま身を寄せ、リアンの唇に口づけた。

その様子を、リリーとアシュリーに呼ばれて駆けつけたミルドレッドが、静かに見守っていた。

ああ、本当に子どものままごとみたい。

そう思うと、彼女の顔にも微笑みが浮かんだ。

アイリスができることなら、やりたいことならそれで十分だ。

彼女は、まだ別の娘に不要な荷を背負わせていることを思い出し、体を反転させて屋内へと入っていった。

「工場長ですか?」

突然、書類を持ってついて来いと言われ、少し緊張していたアシュリーは、工場長を交代させるという言葉にきょとんとしながら尋ねた。

ミルドレッドはアシュリーの頭を優しく撫でながら、穏やかに言った。

「気が回らなくて忘れてたわ。ごめんなさい。まだ人が集まる前だから、できるだけ早く新しい人を見つけて交代しましょう。」

「私が工場長の座を降りるということですか?」

「そうよ。」

そして、その座にはダニエルから紹介された、信頼できる人物を就けるつもりだった。

説明を聞いたアシュリーは、少し呆然とした後に口を開いた。

「じゃあ、私がやっちゃダメですか?」

その言葉に、ミルドレッドの目が大きく見開かれた。

彼女はゆっくり瞬きをしてアシュリーを見つめ、それからソファに腰を下ろして尋ねた。

「続けたいの?」

座るよう促す母の手に、アシュリーも素直に従って隣に腰を下ろした。

別に、続けたいわけではない。

たとえ大半の仕事を母とウィルフォード卿が処理してくれるとしても、書類の確認や、社長として必要な対外的な活動は彼女がしなければならない。

仕事は難しく、人々の視線は怖かった。

失敗するたびに、周囲の人々が自分を笑うのではないかと怯えていた。

それでも、このまま投げ出したくはなかった。

「よく分かりません。続けたいとは思いません。でも、私は今やっと仕事を覚えてきたところじゃないですか。」

ミルドレッドは脚を組んだまま、アシュリーの言葉に口元をゆがめた。

十七歳で社長になったとしても、右往左往するのは当然だろう。

だからミルドレッドはアシュリーに大きな期待をしておらず、そのおかげでアシュリーは期待以上によくやっていた。

「今やめたら、私は仕事がものすごくできない未熟な社長として記憶されるんじゃないでしょうか?」

何を言っているのだろう。ミルドレッドはアシュリーの言葉に呆れた表情を浮かべた。

そもそも彼女は貴族であり、最初から工場長の職を与えられる理由などなかったのだ。

仕事のできない社長として記憶されたとしても、アシュリーの社会的地位や名声に傷がつくことはない。

ミルドレッドはしばらく彼女を見つめていたが、ふとある考えがよぎって尋ねた。

「この前、城でアイリスが陛下に話した件のことが原因なの?」

もし国王がミルドレッドに爵位を授ければ、女性に爵位を与えた初めての王として歴史に名を刻むことになる――そう大げさに語っていたのだ。

「少しは、ですね。」

アシュリーは首をかしげながら答えた。

それまで彼女は、自分の名前がどこかに記録されることなど考えたこともなかった。

むしろ、記録なんて残らなければいいと思っていた。

父がどんな人物だったのか、彼女がどんな人生を歩んできたのか――誰にも知られなくて構わなかった。

しかし、アイリスとリリーの行動を見てからは少し考えが変わった。

二人とも、自分が望むものを手に入れるために必死で戦っている。

自分は、そこまで必死になって何かを得ようとしたことがあっただろうか。

「自分がどこまでやれるのか、知りたいんです。」

「工房で?」

「なんでもです。」

アシュリーは椅子に座ったまま背筋を伸ばし、再び口を開いた。

「お姉さまたちは、それぞれ得意なことを一つずつ見つけたじゃないですか。それをやりたいとも思っているし。私も見つけたいんです。もしかしたら、もしかしたら私が会社経営を上手くできるかもしれないじゃないですか。」

そう言うアシュリーの態度は少しぎこちなかった。

彼女は無意識にミルドレッドの顔色をうかがっていた。

あり得ないとは思いながらも、「まさかあんた、母親なの?」と驚かれたり笑われたりするのを恐れていたのだ。

しかしミルドレッドは依然として真剣な表情だった。

少し考え込んだあと、アシュリーに尋ねた。

「工房を経営するのは楽しいかい?」

「よく、わかりません。」

アシュリーの顔が赤らんだ。

工房経営は楽しいわけでも、やりたいわけでもないのだ。

しかし、姉たちが何かを成し遂げていて、しかもあれほど大きなことをやっているのに、自分だけ何もしないというのは、むしろ気が引けた。

「アシュリー、あなたがやりたいなら構わないわ。将来のために必要だと思うなら、それもいい。でも、周りの目を気にしてやる必要はないのよ。」

アシュリーは一瞬目を見開いたが、すぐに元の表情に戻った。

周囲の目を気にしてやるのではない――そうなのだろうか。

考えが混乱すると、彼女の肩がしょんぼりと落ちた。

あらら、とミルドレッドは、しぼんだアシュリーを見て心の中でため息をついた。

人はお金を持っていなければならない。

姉が王妃となり、母が裕福な伯爵と再婚したとしても、アシュリーにはいつか頼れる資産が必要になる。

だからこそ、彼女が工房の社長の座を降りたいと思ってもミルドレッドはそれも理解できた。

工房経営が楽しいからもっとやりたいというなら、それも理解できた。

だが、姉たちがそれぞれ何かを成し遂げているから、アシュリーも家の役に立たねばならないと思っているのなら、それは必要ないと伝えたかった。

だが、アシュリーが気落ちしている時に言っても意味はない。

 



 

 

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