幼馴染が私を殺そうとしてきます

幼馴染が私を殺そうとしてきます【157話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【幼馴染が私を殺そうとしてきます】まとめ こんにちは、ピッコです。 「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...

 




 

157話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 最後のカウントダウン

日付はあっという間に、容赦なく過ぎ去っていった。

レリアは夜の静寂の中、ぽつんと浮かび上がる半透明の画面を、ただ静かに見つめ続けていた。

【お知らせ】

―「錬金復権」サービス終了のお知らせ―

本サービスの終了日は[1]日後となっております。

これまで「錬金復権」サービスをご利用いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。

「あと一日」と記されてはいるものの、時間的には今日の深夜12時を迎えた瞬間に、すべてが終わることを意味していた。

レリアはベッドの上で小さく膝を抱え、ただその青白いゲーム画面だけをじっと見つめていた。揺れる蝋燭の灯りを見つめていると、なんだか喉の奥が詰まるような、息苦しい気分に襲われる。

ふと、この過酷な異世界で、あの風変わりなゲームシステムに初めて出会ったときの記憶が、鮮烈に蘇ってきた。

幼かったあの頃、不思議な聖物を見つけたレリアは、藁にもすがる思いですぐに願いを祈ったのだ。──『どうか、この忌々しい呪いが解けますように』と。

だが、持ち主の無意識の願いを叶えてくれるというその聖物が実際に与えたのは、今まさに直面している「錬金復権」のシステムだった。それは、彼女が前世で孤独に死んでいく直前、ゲームの世界に転生したいと切実に祈っていた、もう一つの願いだったのだ。

しかし、今になって思えば、それこそが何よりも幸運だったのかもしれない。もしも……。

もしも、あの孤独で過酷な日々のなかに、このお調子者で頼もしい「錬金」のシステムが存在しなかったなら。

レリアは、あの誰にも理解されない寂しい時間を、たった一人きりで耐え抜くことなど、到底できなかっただろう。

ずっと自分は世界に一人ぼっちだと思い込んでいたけれど、本当はそうではなかったのだ。

レリアは切ない、愛おしさに満ちた眼差しで画面を見つめながら、かつて何度も触れたシステムUIへと再びそっと指先を伸ばした。

時は無情に流れていく。

静まり返った部屋のなかに、時計の秒針が時を刻む音が、妙に大きく、心臓を叩くように響き渡っていた。

「ねえ……錬金?」

もしかして、最後くらいは何か返事をしてくれるのではないかと思って、そっとその名を呼んでみた。しかし、スピーカーから返ってくる音は何もない。

その後も何度か、レリアは溢れ出そうになる涙を必死にこらえた声で、画面の向こうの相棒に呼びかけ続けた。

やがて、非情にも時計の針が重なり、午前12時を告げた。

[今まで「錬金復権」を愛してくださったユーザーの皆様に、心より感謝申し上げます。]

『いつも幸せでいてください!!(◕‿◕✿)』

どこまでも明るく、お茶目な顔文字を添えた最後のメッセージと共に、半透明のウィンドウがピカピカと眩しく点滅した。

その光を見た瞬間、レリアはまるで大切なプレゼントを突然取り上げられてしまった子供のように、堪えていた涙をポロポロと激しく流した。

彼女は唇を激しく震わせながら、消えゆく光に向かって声を絞り出す。

「ありがとう……本当に。今まで、私を支えてくれて、本当に……っ」

やがて、かすかに名残惜しそうに点滅していたメッセージウィンドウが、すうっと煙のように消えた。

同時に、物心がついてからずっと視界の右下に当たり前のように表示されていたすべてのUIが、完全に消滅する。

あまりにもあっけなく、あまりにも静かに、すべてが消え去ってしまった。

レリアは念のために、胸元にあるペンダントに何度も触れてみた。けれど、あの懐かしいゲーム画面が再び目の前に現れることは、二度となかった。

「……」

レリアは膝の間に深く顔を埋め、声を上げて泣いた。

それは、長年苦楽を共にしてきた、世界で一番の親友を永遠に失ってしまったかのような、凄まじい喪失感だった。胸にぽっかりと空いた大きな穴から涙が溢れて止まらない。

レリアは夜明けが来るまで一睡もできず、ただひたすらに、ひとしきり泣き続けた。

あらかじめ覚悟していた別れだったはずなのに、いざその瞬間を迎えてみれば、胸を引き裂かれるような辛さは何一つ変わらなかった。

 



 

翌朝。

レリアは鏡に映った、泣き腫らしてひどく腫れぼったくなった自分の顔を見て驚いた。

冷たい水で何度も何度も顔を冷やし、赤みを落ち着かせてからでなければ、まともに服を着替えることさえできなかった。メイドのベッキーが部屋にやってくるまでには、まだもう少しだけ時間がありそうだった。

レリアは、どこか魂が抜けてしまったかのような虚ろな気持ちのまま、ぼんやりと部屋の窓辺で時間を過ごしていた。

どうしても気が紛れず、少し外の新鮮な空気でも吸って頭を冷やそうと、散歩のために部屋を出ようとした。

しかし、部屋の重いドアを開けた瞬間、彼女の足はピタリと止まってしまう。

回廊の少し先に、見慣れた誰かの後ろ姿がポツンと目に入ったからだ。

「……あれ、お母さん?」

後ろ姿だけでも、すぐにそれと分かった。

レリアの静かな呼びかけに、エリザベスが驚いたように肩を揺らし、ゆっくりと振り返る。

「……あ」

「……」

そして、二人の目が正面から合った、まさにその瞬間。

レリアは全身の血が逆流するような、凄まじい衝撃に大きく息をのんだ。

エリザベスの瞳が一瞬だけ信じられないものを見るように見開かれたかと思うと、次の瞬間には、そこから大粒の涙が堰を切ったように溢れ出し始めたのだ。

ああ……。

じわじわと指先が痺れていくような感覚がレリアを襲う。彼女の魂が、本能的にその「奇跡」を察知していた。

「レ、レリア……っ」

母の、失われていたはずのすべての記憶が、戻ったのだ。

「レリア……!」

これまでの数日間、何度も呼んできたはずの娘の名前だった。けれどそれは、すべての記憶を取り戻し、一人の「母親」として、魂を込めて初めて我が子の名を呼ぶ瞬間だった。

エリザベスは今にも張り裂けそうな震える声で、愛おしい娘の名前を何度も、何度も繰り返し呼び続けた。

生まれてすぐ、まともに抱きしめることもできずに腕から引き離さなければならなかった我が子。

まともな名前をつけてあげることすら許されず、涙ながらに手放さざるを得なかったあの子。

そのあまりにも残酷で悲痛だった別れの瞬間の記憶は、まるで昨日のことのように鮮明に脳裏に焼き付いているのに、現実には、すでに20年というあまりにも長い歳月が流れてしまっていた。

エリザベスは涙で激しく滲む視界の中で、愛おしい我が子の姿を焼き付けるように、そっと目を閉じた。

激しく身体を震わせながらも、エリザベスはレリアの手を取ろうと伸ばした手を、一度躊躇うように引っ込めた。しかし、レリアの温かい手のひらが自分の手にそっと重ねられた瞬間、彼女の口から堪えきれない低い気付けのような吐息が漏れる。

肌を通じて我が子の命の温もりが伝わってきたその瞬間、エリザベスは糸が切れたように、その場に崩れるようにして倒れ込んだ。

「……ああ……っ!」

「レリア、私の子……私の、愛しいレリア……!」

「お母さん……っ!」

レリアはすぐさま、崩れ落ちるエリザベスの胸の中へと飛び込み、その身体を折れんばかりに強く抱きしめた。

「お母さん……! お母さん……!」

静まり返った公爵邸の回廊に、20年の時を越えてようやく真に結ばれた親子の、激しいすすり泣く声がどこまでも響き渡っていく。

「私の子よ……私の一番大切な、宝物……」

胸が張り裂けそうなほどの愛おしさと痛みに、二人はどれだけ涙を流しても足りないようだった。レリアは母の胸に顔をうずめ、声を押し殺しながら子供のように泣きじゃくった。

「お母さん、私は……私はちゃんと、立派に生きてきました。どんなに苦しくても、絶対に諦めずに生き延びました。今まで、ずっとずっと……っ」

エリザベスは、そんな我が子の健気な背中を何度も何度も愛おしそうに抱きしめながら、ただ涙を流し続けた。

この子が、あの地獄のような運命の中で、こうして生きて今日まで繋がっていてくれた。一人の母親としては、ただその厳然たる事実だけで、もうこれ以上ないほどに十分だった。過去の怨嗟や、これから直面するであろう政治的な複雑な問題など、今は何一つとして考えたくもなかった。

しばらくの間、回廊の床で強く抱き合ったまま涙を流し続けていた二人は、やがて心を落ち着かせるようにレリアの部屋へと入っていった。

ソファに並んで腰を下ろし、互いの手を片時も離さずしっかりと握り締めながら、静かに言葉を交わす。

「じゃあ、記憶は……本当に……」

「ええ。夜明けにふと目を覚ましたとき、まるで堰を切ったように、自然にすべての記憶が頭の中に優しく戻ってきたのよ」

「……全部ですか? じゃあ、あなたが『セナ』として、あの場所で生きていたときの記憶まで?」

「……ええ、そうよ」

レリアは唇をぎゅっと噛みしめた。

その言葉が意味するものは、あまりにも重かった。すなわち、母がペルセウス皇帝との間にあったすべての愛憎劇や、あの皇城での出来事をも克明に覚えているということだったからだ。

「心配しなくていいのよ、レリア」

エリザベスはどこまでも優しい聖母のような笑みを浮かべ、レリアの柔らかな髪をそっと撫でてくれた。その美しい瞳には、まだ乾ききらない涙がうっすらと浮かんでいる。

「これまでのすべてを本当の意味で受け入れるには、私にもまだ、たくさんの時間が必要でしょう。だから……しばらくの間は、お城のことも、過去のことも何も心配せずに、このシュペリオンであなたと一緒に穏やかに過ごしましょう」

母のあまりにも深い愛情に、レリアは喉の奥が熱く詰まるような感覚を覚えた。

エリザベス自身、心の内には複雑で割り切れない思いを無数に抱えつつも、ひとまずはすべての思考を放棄することに決めていた。この最愛の娘が目の前で生きて笑ってくれている、今はただそれだけで、自分の人生は完全に報われたのだから。

たとえ、ペルセウス皇帝や、あとに残してきた二人の息子たちとの再会が、どれほど遠い未来へと先送りされることになったとしても、今の彼女にとっては些細な問題でしかなかった。

「お前が……お前が私の命を、あそこから救い出してくれたのね……」

「お母さん……」

レリアは、自分の太ももの上に置かれた母の愛おしい手の甲に、自らの小さな手をそっと重ねて優しく微笑んだ。

エリザベスは、我が子のそのどこか懐かしい柔らかな口調に触れ、ふいに20年前の、あの運命の日の記憶を思い出していた。

「あの時、ライディオスによって恐ろしい毒を盛られた直後、私は死を覚悟して、あの一本道の行き止まりへと向かったの」

エリザベスのもう片方の手が、レリアの胸元で静かに佇んでいる形見のネックレスへと向けられた。

「そしてね、最後の力を振り絞って、このネックレスに古い魔法をかけたのよ」

「……このネックレスに、ですか?」

「そう。いつの日か……イリス皇女の正当な娘であるあなたが、巡り巡ってこのネックレスの在り処を知り、それを手にする時が必ず来るだろうと信じて」

「……」

「その時はね、あなたがどんな奇想天外な願いでも構わないから、どうか一つだけ、あなたの望む願いを叶えてほしいと……そう祈りを込めて、魔力を定着させたの」

「お母さん……っ」

母親として、生まれてすぐのあなたのそばにいてあげられなかった。せめてもの贖罪と、我が子の未来を守りたいという狂おしいほどの願いを込めて、命懸けでその魔法を刻んだのだ。

レリアの太ももを包み込んでいたエリザベスの手の甲に、レリアの目から溢れた新たな涙がポツリと落ちていく。エリザベスは何も言わず、ただ愛おしそうにレリアの頬に触れ、その涙を優しく指先で拭ってあげた。

前世で死ぬ間際、彼女が心から願った「ゲームの世界への転生」という奇跡が、時空を越えてこうして完璧な形で叶えられたのは、他ならぬ実の母親が遺してくれた、命懸けの魔法のおかげだったのだ。その真実に触れ、レリアは再び母の胸へと抱きつき、その華奢な肩に顔をうずめてしばらくの間、子供のように激しくすすり泣いた。

ひとしきり泣き続けたのち、ようやく涙を拭って顔を上げたレリアは、母の手を引いて立ち上がった。

「……おじいさまに、会いに行きましょう」

「ええ……そうね」

エリザベスは穏やかに微笑みながら、レリアの乱れた髪を優しく整えた。

だが、一歩部屋の外へ出ると、彼女の表情には隠しきれない緊張が走り、その足取りもどこか不安げに小さく震えていた。レリアはそんな母の気持ちに寄り添うように、その手をぎゅっと力強く握りしめる。

「おじいさまはね、お母さんの記憶がこれ以上戻らないことを望んでいたけれど……本当は、世界の誰よりも、あなたにすべてを思い出してほしかったんだと思います」

「そうね……。あの方はいつでも、私が過去の傷でこれ以上苦しむのではないかと、そればかりを心配してくれていたものね」

エリザベスはすべてを理解しているという風に深く頷き、愛おしそうにレリアの髪を撫でた。その胸の奥では、父との再会を前に、心臓がドキドキと激しく脈打っているのが伝わってくる。

レリアは、祖父が毎朝、祖母と一緒に庭園の決まったルートを散歩していることをよく知っていた。彼女は母の手を引いたまま、迷いのない足取りでまっすぐその場所へと向かう。

近づいていくと、どういうわけか、今日はなぜかカリウスおじさんまでもが二人の散歩に同行していた。

「いや、お父さん! 私の言うことをちょっとでいいから聞いてくださいよ! レリアが心の底から望むのであれば、結婚なんて二度や三度したってバチは当たらないじゃないですか……!」

いったい何を朝から説得しているのか、カリウス叔父さんは祖父の隣を必死に歩きながら、身振り手振りを交えてずっと熱弁を振るっていた。

祖母はそんな息子の的外れな奮闘をただ楽しそうに笑って見守っており、祖父のノ工匠は完全に無視を決め込んだまま、黙々と数珠を手に指を動かしている。

「カーリクスがどれほど素晴らしくて、シュペリオンにとって頼りがいのある男か、お父さんだってよく分かっているでしょう!? 絶対にあの子をジョカサウィ(姪の婿)家に迎え入れるべきですよ!」

「だったら、私ではなく、まずはレリア本人を説得してきなさいと言っているだろう!」

怒鳴り声をあげる祖父に対し、叔父はなおも食い下がる。

「それでも、まずはお父さまの正式な許可が必要でしょうが!」

レリアは遠くからそんな賑やかな三人を見つめていたが、隣にいる母の手をもう一度しっかりと握り直し、ゆっくりと、確実な足取りで歩みを進めた。

「おじいさま、おばあさま、カリウスおじさま」

散歩の途中、いつもの美しい大理石のベンチに腰を下ろした祖父母の視線が、一斉にレリアたちへと向けられた。

「おお、我が子よ、もう起きたのかい? ──おや、エリザベスも一緒……」

いつも通り優しく問いかけようとした祖父の言葉が、不自然に途中でピタリと止まった。

正面から歩み寄ってくる、エリザベスのその「瞳」と視線が、完全に交わったからだった。

「……お父さま」

「………」

その一瞬、レリアは世界のすべての時間が完全に停止してしまったかのような錯覚に囚われた。

張り詰めた沈黙ののち、祖父の老いた顔に、言葉にはできないほどの歓喜と悲しみ、懐かしさ、そして過去に対する絶望や後悔の念が、濁流のように入り混じって劇的に変化していくのを見て、レリアの鼻の奥がつんと激しく痛んだ。

「エル……エリザベス……っ、お前……」

「お父さん、お母さん……そして、カリウス」

エリザベスはゆっくりと、一歩一歩踏みしめるように近づき、最愛の家族たちの名前を優しく呼びかけた。

「姉さん……?」

「エリザベス……!」

カリウスおじさんも、そして祖母もまた、瞬時に母のその決定的な変化──すべてを思い出した一人の高貴な女性としての佇まいに気づき、その表情を劇的に変えた。驚愕に染まった顔は、次の瞬間には一気に感動へと塗り替えられ、その瞳は瞬く間に大粒の涙で濡れていく。

「姉さん!」

エリザベスがすぐ目の前まで近づくと、カリウス叔父さんは我慢できなくなったように、大きな身体で彼女を思い切り引き寄せて強く抱きしめた。そして、まるで幼い子供のようにはっきりと顔を歪めて、声を上げて泣き始めたのだ。

それは祖父母も全く同じだった。年月を経て深く刻まれた彼らの皺だらけの頬を、止めどない涙が幾筋も流れ落ちていく。

最愛の娘を理不尽に失いながらも、ただただ絶望の中で生き延びてこざるを得なかった、あまりにも長すぎた空白の年月。

祖父は胸を締めつけられるような苦しそうな声を上げ、涙ながらに言葉を絞り出した。

「どうして……どうして、記憶が戻ったんだ……! 一体、どうして……っ」

祖父はそうブツブツと天を仰ぎながらも、最愛の娘の身体を二度と離さないと言わんばかりにしっかりと抱きしめ、祖母もまた、エリザベスの愛おしい頬を何度も何度も愛おしそうに撫でながら、ただ狂ったように泣き続けていた。

それはつい少し前、レリアの部屋でレリアとエリザベスが交わしていた、あの奇跡の光景と全く同じだった。

レリアは静かに一歩後ろへと下がり、美しい木漏れ日の中で泣き崩れる本当の家族の光景を、ただ静かに見守り続けた。自らの頬を伝い落ちる温かい涙を、そっと指先で拭いながら。

その時だった。

回廊へと続くドアのところで、不意に、大きくて温かい見慣れた手がレリアの肩にそっと触れた。

驚いてハッと振り返ると、そこにはいつの間にか空間を渡ってやってきたオスカーが、静かに佇んでいた。

「オスカー……」

「……」

オスカーは何も言わず、ただ愛おしそうに目を細めると、レリアの涙で濡れた額に優しく、深い口づけを落としてくれた。

レリアは、自分の小さな手を包み込むように取ってくれるオスカーの大きな手を、今度は離さないようにしっかりと握り締めながら、再び目の前の温かい家族の光景へと視線を戻した。

──「錬金」という、これまで自分を誰よりも支えてくれた、何よりも大切でかけがえのない親友とは、昨夜の12時を以て永遠に別れなければならなかった。

けれど、それでも、これで本当に良かったのだとレリアは心から確信していた。

なぜなら彼女は今、前世の最期の瞬間に心から望んでいた、本当の「幸せ」をこの手で完璧に掴み取ることができたのだから。

錬金が旅立って、ぽっかりと空いてしまった心の寂しい場所は、これから隣にいるオスカーや、最愛の家族、そして大切な風変わりな友人たちが、きっと余すことなく温かく満たし続けてくれるだろう。

レリアはオスカーの手を強く握り返し、青空の向こうの相棒へ届くように、心の中で最後にもう一度だけ呟いた。

(ありがとう、錬金。私はここで、大切な人たちと一緒に、絶対に幸せになるね)

ガラス天井の向こうから降り注ぐ光は、新しい未来の始まりを告げるように、どこまでも眩しく二人を照らし出していた。

 



 

 

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