悪党おじさんと暮らしています!

悪党おじさんと暮らしています!【59話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「悪党おじさんと暮らしています!」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【悪党おじさんと暮らしています!】まとめ こんにちは、ピッコです。 「悪党おじさんと暮らしています!」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...

 




 

59話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • ちょっと不器用な再会

ロンドの後始末は、すべて終わりつつあった。裁判の最中に逃亡を企てたジェミエルが山賊に襲われて命を落としたためだ。おまけにラフドまで失踪してしまい、これ以上裁判を続けることはできなかった。こうしてロンドの全財産はレギアへと渡され、消えていった。

『ロンドがこんなに簡単に没落するなんて』
『これで誰がバリエルトに挑むっていうの? さっさと身を引かなきゃ』
『これからどうなるんだ……』
『こんなことになると分かって、あらかじめレキア侯爵と縁を作っておいて本当によかった』

どの貴族の集まりに行っても、その話でもちきりだった。誰かはレキアが動いたに違いないと言ったが、誰一人として証拠を見つけることはできなかった。結局、すべてはカッセルの望みどおりに進んだ。

そしてすべてがある程度片づいたころ、カッセルは皇帝ウィンチェスターを訪ねた。久しぶりにカッセルと顔を合わせたウィンチェスターは、何とも言えない表情を浮かべ、まるで仇でも見るかのように睨みつけた。

「いったい……」
だからといって小言を言ったところで、聞くような男でもなかった。
「謁見の要請を五回も出したのに、ようやく受けてくださるんですね」
80%の怒りと20%の拗ねた気持ちが入り混じった声に、ウィンチェスターは気まずそうに笑った。
「あれだけ大事にしておいて、彼が私に何を言うのかと思ったんだ。今は自重すべき時期じゃないか。いくら私でも、無条件に君の肩を持つことはできないからな」

それに、今は公式の謁見の場ではなく、友人同士の内密な面会だった。正直なところ、押しかけてきたようなものだった。もちろん、外部の者は誰も知らないだろうが。カッセルは向かいのソファにどさりと腰を下ろした。そして、不満そうにしながらも、自分がここへ来た目的を投げつけるように口にした。

「渡せ」
「何を?」
「セリアが遺したものだ。一つ残らず全部」
「何のことだか分からないな」
ウィンチェスターはお茶を飲みながら、知らないふりをした。カッセルが鋭くウィンチェスターを睨みつけた。
「渡せ」

朝が来た。私は今日もおじいちゃんの家で目を覚ました。おじさんが帰ってくるまでここにいるようにという約束――それを忠実に守っている最中だったからだ。

『でも、おじさんはいつ帰ってくるのかな』
おじさんが出かけてから、もう一週間。おじいちゃんが魔法の粉を買ってこいと使いに出したジェラードも、まだ帰ってきていなかった。ゼンは、ジェラードがおじさんを守りに行ったのだと言っていた。

昨夜はエクスが突然また疾走本能に駆られたのか、寝ようとしているのに何度も頭突きをしてきて、光を放っていた。無視して寝ようとしたけれど、ずっと邪魔してくるので仕方なく窓を開け、眠い目をこすりながらエクスを召喚してあげた。

「ヒヒーン!」
絶対に姿を見せてはいけないと言ったのに、エクスは二階の高さから平然と窓を乗り越えて降りていき、幽霊のように泣きながら姿まで現してしまった。夜だから誰にも見られていないようだったが、それでも驚きのあまり目がすっかり覚めてしまった。
「セロ、私、エクスの面倒を見るのはちょっと大変……」
「うちの子、捨てちゃおうか」
セロがまたそんなことを言うほど、エクスは相当な問題児だった。しばらくしてエクスが戻ってきて、再び眠ることはできたものの、少ししか眠れなかったのでとても眠かった。

「お嬢様、とても眠そうですね?」
私は片手にフォーク、もう片方にスプーンを握ったまま、こくりこくりと舟をこいでいたが、ぱっと顔を上げた。
「うん? 違う。おじいちゃんは?」
「閣下は朝早くから急用がありまして、少し外出されました。すぐにお戻りになるとのことです」
「うーん……」

早く食べて、おじいちゃんを待とう。おじさんが出かけたあと、おじいちゃんとちょうど十日間、どこにも行かず家にいると約束していた。もうあと三日しか残っていない。その時、誰かが食堂に入ってきた。

私は無表情で入ってくるその人を見つめた。あ……すごく背が高くて、おじさんに似てる。半分閉じたような目でぼんやり眺めながら、首を傾げてチーズを一切れ口に入れると、おじさんに似た男が――いつの間にか、向かい側の椅子にどっかりと腰を下ろしていた。

「タンコン、どうしたの。タンコン、今度は寝ながら食べる能力まで身につけたの?」
うわ、声までそっくり……。
え?
ええ?
「おじさん!」

私はフォークとスプーンを放り出し、そのまま飛び起きた。本当におじさんだ! 私はおじさんの前に立ち、じっと見上げた。本当におじさんだ、おじさん。おじさんが帰ってきた。

しばらく会わないうちに、顔がもっと鋭くなったような気がするけど。それでも、おじい様の言ったとおり、叔父様には傷一つないように見えた。よかった!
「何だ、どうした?」
一生懸命様子を確認しているのに、叔父様はぶっきらぼうな表情でそう言った。私は会えて嬉しいのに、何とも思ってないみたい! どうしてそんなことができるの? ずっと待ってたのに、寂しい。

その瞬間、おじい様と交わした会話が頭をよぎった。
『おじい様、叔父様はいつ来るの?』
『叔父に会いたいのか?』
『うん! それに心配なの』
『もうすぐ来るそうだ。もう少しだけ待っていよう。うちのお姫様をずいぶん待たせたんだから、帰ってきたらこのじいちゃんが叱ってやるからな』
『あっ、おじさんを叱っちゃダメ!』
『じゃあ、遅れてきたんだから、おじさんをくすぐってやろうか?』

おじさんが図々しくも私に手を差し出した。私は一歩後ろへ下がった。
「お帰りなさい、おじさん」
そして両手をお腹の前で丁寧に重ね、ぺこりとお辞儀をした。

おじさんはその場で固まった。
「……何?」
数秒後、おじさんの口から呆れたような声が漏れた。挨拶をした私は、おじさんの呆れた顔を背に、すたすたと歩いて元の椅子に座った。それでもおじさんは、呆れた表情で私を見つめていた。ふん、私がどれだけ待ってたと思ってるの! 私は何食わぬ顔で両手にフォークとスプーンを持ち、朝食を食べ始めた。

「タンコン」
アイカはてくてくと歩いていた足を止め、くるりと振り返った。カッセルは食堂からずっと、少し離れた後ろを――とぼとぼと後をついて歩いていた。姪が自分に会えて嬉しいと、涙をぽろぽろ流すと思っていた彼は、戸惑うしかなかった。こんなはずじゃなかったのに?

「うん?」
「どうした?」
「何が?」
「なんでそんなに不機嫌なの?」
アイカは指をもじもじさせながら、体をくねらせた。
「そんなんじゃない」
そう言うと、再び背を向けて、てくてくと歩き始めた。

やはり少し遅かったのだろうか。先に始末した三十八人、残っていた七人のうち、ジェミエルを含むロンドとその補佐官、そして最後の五人まで、すべて始末した。宝石はすぐに終わると言っていたが、残った細々とした仕事まで片づけて戻ってきたため、もう少し日数がかかった。相変わらず、やるべきことは山積みだったが。

それでも途中で一度くらい寄っても大丈夫だろうと思っていたのに。カッセルは再びちびっこの後ろを追い、そっと近づいた。
「おじさんが遅く帰ってきたから、拗ねたのか?」
「うん? 違うよ」
「じゃあ」
アイカが再びちらりとこちらを見た。
「ただ……久しぶりに会ったら、なんだかおじさんがちょっとよそよそしく感じるの」
「何?」
「あ、おじさん疲れてるんでしょ。休んで!」
そう言うと、前にジェンダが現れた途端、そのまま後ろへ歩いていた。

くううっ! カッセルは一瞬、後頭部を殴られたような気分になった。
『久しぶりに会ったら、なんだかおじさんがちょっとよそよそしい。』
その言葉が頭の中で何度もこだました。

その後もカッセルは衝撃から立ち直れないまま、アイカの後ろをとぼとぼとついて回った。冗談ではなく、本当によそよそしく感じているようで――私と一緒にいられず、あちこち飛び回っていたうえに、ジェンダマンが現れるとすぐに飛び出していってしまったからだ。ようやく事態の深刻さに気づいた。

「おじさん」
「ん?」
「おんぶしてあげようか?」
「ううん、大丈夫! おじさん疲れてるでしょ」
「…………」
しかも突然、叔父の体調まで気遣う優しい姪になっていた。本当なら、脚にしがみついて離れず、うるさいくらい懐いてくる姪だったのに。

「それとも、どこか行きたいところでもある?」
いつの間にかカッセルは、アイカが遊んでいるすぐ隣に陣取って座っていた。
「うん? でも、おじいちゃんと十日間は家にいるって約束したの。そのあとなら行っていいよ」
「おじさんと一緒なら、今日行ってもいいだろ?」
「おじさん、疲れてるでしょ。大丈夫!」
そう言うと、アイカはさっと立ち上がり、どこかへ行ってしまった。
「…………」
ヒュウ――まだ真夏だというのに、冷たい風が吹いた。

おじさんが変わった。ただ甘やかしてくれるのを思い出して、おじいちゃんの言うとおりにしただけなのに! いつも面倒くさいとか、忙しいとか言って私にあっちへ行けって言っていたのに、今ではおじさんがずっと私の後をついてくる。

『すっごく……いいじゃん?』
何より、おじさんが私を面倒くさがっていないということが、太陽が西から昇るくらい驚くべきことだった! しかも、一緒にお出かけまでしようと言ってくれた。へへ。

でも……問題ができた。おじさんがあれこれしてくれようとするのが、すごく嬉しいんだけど。
「……タンコン、不満があるなら言葉で言え」
「え、ないけど?」
もともと少しだけやってやめようと思っていたのに、おじさんが――表情があまりにも深刻だったので、もじもじしているうちに、結局その言葉を口にできなかった。だから私は、昼食の時間になるまで叔父様と気まずいまま過ごさなければならなかった。

でも昼食を食べ終えると、叔父様はまた姿を消してしまった。どこにいるのか探していると、遠くにレトを見つけた。
「レト!」
私はレトのもとへ駆け寄った。おじい様のところへ来てから、叔父様には会ってもレトには一度も会っていなかったので、本当に久しぶりだった。

「お嬢様、お元気でしたか?」
レトは眼鏡をジャケットの内ポケットにしまいながら笑った。
「うん! レトももう忙しくないの?」
「だいぶ落ち着きました。私より主君のほうがお忙しいでしょう」
「レトも怪我してなくてよかった!」

その時、向こうのほうから、おじいちゃんの厩舎を管理しているおじさんと、使用人の一人が話している声が聞こえてきた。
「白馬が庭を夜通し走り回ってるのを、確かに見たんだって? まるで狂った馬みたいに!」
「見間違いだろ。君、体調管理したほうがいいんじゃないか?」
あの白馬、どう考えてもエクスのことだ。私は知らないふりをして、二人に両手をぶんぶん振って通り過ぎた。次はちゃんと約束させてから出してあげなきゃ。

私はレトに叔父様の居場所を聞き、そのまま二階へ向かった。二階へ上がると、ソファに座ったままうとうとしているおじさんの姿が見えた。おじさんは座ったまま腕で目元を覆い、眠っていた。私はそっと近づいた。
『疲れてるみたい』

普段なら、私が少し近づいただけですぐに気づくおじさんが、今日はぴくりとも動かなかった。私はその隙に、宝物のバッグからしわくちゃになった手紙とハンカチを取り出した。おじさんが帰ってくるまで外出もできなかったので、一生懸命刺繍をして完成させたハンカチだった。

本当はおじさんを見た瞬間に渡そうと思っていたんだけど、朝、あんなにぶっきらぼうな態度を取らなければすぐに渡していたはずだ。ふん。こっそりおじさんのポケットに慎重に入れて、顔を上げると……。
「ひゃっ」
横を向いたおじさんと、ばっちり目が合った。

「……おじさん」
低く沈んだ叔父様の声に、思わず喉がひゅっと鳴った。私は慌てて、叔父様のズボンのポケットに入れていた手をさっと引き抜いた。
「あ、何もしてないよ。おじさん、また寝て!」
私たち、まだちょっと気まずい仲なのに!

叔父様は乱れた髪を適当にかき上げると、再び私をじっと見つめた。やがて叔父様の頭がさらに下がってきたので、私はポケットを後ろ手に隠した。私が一生懸命しまい込んでいたハンカチと手紙が、ずるずるとまたみ出してきた。ああ、恥ずかしい。

「……ジェンダのところに行かないと」
何でもないふりをしてソファから降りようとしたところ、服をぐいっと掴まれた。私はおじさんと向かい合って座り、両手を前に伸ばしたまま固まった。
「どこ行くんだ?」
「おじいちゃんを待ちに」
「これは何だ?」
「うん? ただ……何でもない! わっ!」
もう一度逃げようとしたけれど、おじさんに腕で腰を抱かれ、そのまま体をぐいっと引き寄せられた。

「お前、おじさんに飽きたんじゃないだろうな?」
私は顔を上げて、おじさんを見つめた。おじさんの顔が逆さまに見えた。
「……違うけど」
「じゃあ?」
「飽きたんじゃなくて、ただおじさんがよそよそしく感じるからそうしてるんだってば?」
「飽きたんだろ?」
私はその言葉を聞いて、頭をおじさんの胸にぺたんと押しつけた。
「違うもん!」

頭の上からずしりと重いものがのしかかった。私の頭の上に、おじさんが顎を乗せたのだ。おじさんの頭、重い……。
「おじさん、遅くなってごめんな、タンコン。でも、おじさんがこれくらい早く帰ってくるとは思わなかったか? 何日も会えなかったなんて言うなよ?」
「何日じゃなくて一週間だよ、おじさん」
頭の上から低い笑い声が聞こえた。
「そうだな、一週間。片づけるゴミが多すぎて、おじさん忙しかったんだ。許してくれ」

おじさんの頭が重くて視線を下げると、ハンカチと手紙を握っているおじさんの大きな手が見えた。本当は少し寂しくてやったことだけど、叔父様が謝りまでしたから、ここでいたずらは終わりにしよう。私は手を上げて、ちょいちょいと手招きした。叔父様の顔が近づいてきたので、耳元に口を寄せて囁いた。

「ねえ」
「うん」
「おじさん、実はいたずらなの。一つも拗ねてないよ」
「何?」
舌をぺろっと出すと、すぐに叔父様の膝から飛び降り――逃げようとしたところ、すぐにまた捕まってしまった。

「おい、こら。こっち来い」
「うわあっ!」
おじさんが大きな手で私の頬をつかんで引っ張ったので、頬がびよーんと伸びた。
「ひどい! おじさんが先にやったんでしょ!」
私は両手でおじさんの手をつかみ、ガブッと噛みついた。
「いつ?」
「おじさん、朝こうしてたじゃん。『なんだ、何だ。こうか? ふん!』」
私は首を傾げ、目を細めながら、できる限りおじさんの表情と口調をそっくり真似した。すると、おじさんの口元がぴくりと引きつった。
「おい、私がいつそんなことした」
「したじゃん。ずっと待ってたのに、バカなおじさん。私、刺繍までして、手紙も書いて待ってたのに」
「遅く帰ってきたから拗ねたんだろ」
「違うもん!」

おじさんがまた私の頬をむにっと引っ張った。
「ちっこいくせに、もう駆け引きなんか覚えやがって」
私も体をひねって同じように仕返ししようとしたけれど、おじさんは腕が長くて、どうしても手が届かなかった。むぅ。
「おじいちゃんが教えてくれたんだもん! おじいちゃんに言わなきゃ」
「どうぞ」
「おじさん、じゃあ手」
「手は何?」
「仲直りしよう!」
私は叔父様の手を引っ張って、無理やり握手した。叔父様がふっと笑った。
「いたずらだったのに、何を仲直りするんだ?」
「半分は本気だったの。もういいよ」

二度ほど握手をして叔父様の手を離すと、叔父様は呆れたような顔をした。もう片方の手には、相変わらずハンカチと手紙が握られていた。
「ほら、全部持っていけ」
「えへへ。叔父様、もう行かなくてもいいの? お家に帰るんでしょ?」
「夕方に帰ろう」
「うん。じゃあそれ、早く見て。私が作ったの!」
「刺繍までしてあるけど、そういうのじゃないのか?」
「違うもん! ジェンダが手伝ってくれたけど、私もやったの。それに手紙は全部私が書んだんだから」
「さっきから、やたら手に力が入ってないか? 怪しいな、これ」
「違うってば!」

そう言いながらも、おじさんはくすくす笑いながら刺繍を指でしばらく撫でた。
「なんでまた、ネックレスみたいにお前の名前をでかでかと入れたんだ?」
「おじさん、今もネックレスしてる?」
「捨てたけど」
「嘘!」
「本当だけど」
おじさんが私の額を指で軽く弾いた。でも、私は見た。おじさんの服の隙間から見える金色の首飾りの紐を!

「おじさんがいない間、また何か見た?」
おじさんはハンカチをポケットにしまいながら尋ねた。
「何もなかったよ、一つも」
「よくやった。隠さずに全部話すって約束したもんな」
「……うん。おじさん、じゃあもう私が言った悪い人はいないんだよね?」
おじさんは細めた目で私をじっと見つめたあと、片方の眉をぴくりと上げた。
「そうだ。おじさんが悪い奴らは片づけてやったのに、何もしてくれないのか?」
「してあげたじゃん、これ!」
私はおじさんのポケットに入ったハンカチと手紙を指差した。
「ほかには何もないの? 百万ゴールドとか、そういうの」
叔父様は自然に顔を横へ向けた。私は目をぱちぱちさせてから、首を横に振った。
「ないけど?」
「なんでないんだ。叔父さんはあんなに苦労したのに、くれないのか。薄情な姪っ子だな」
「おじい様が、貴重なものは取っておいたほうがもっと高くなるって! だから大事に取っておくことにしたの」
「爺さんから、そんなことまで学んでるのか……」
叔父様は呆れたように首を横に振った。

「叔父様、もう眠くない?」
「眠くないなら?」
私はソファから降りると、叔父様の手をつかんで引っ張った。
「眠くないなら、私たち馬に乗るの習ったの今度見せてあげるね! ホメおじさんが牧場に子馬を飼ってるの。実は昨日、一度乗ってみたんだ。だから早く――」
「いいって」
私は手を引っ込め、呆れたようにおじさんを見つめた。さっきはネックレスもつけてくれるって言ったし、何でもしてくれそうなこと言ってたくせに! 人は入る時と出る時で違うっていう、おじいちゃんの言葉は本当だった。

「何でもしてくれるって言ったじゃん!」
「おじさんも急に高くなったから、ダメだ」
そう言いながら、まったく動じる様子もない。私は立ち止まり、ふぐのように頬をぷくッと膨らませたあと、すぐにまたおじさんをつかんで引っ張った。ただでさえおじさんは大きくて重いのに、少しも動じなかった。
「早く!」
もう目が覚めているのは分かっているのに、眠いふりをして後ろへ体をぐーっと伸ばしさえした。仕方なく私は白万ゴールドを使い、おじさんは「しょうがないな」とでも言いたげに立ち上がって厩舎へ向かった。

「おじさん、あとで家に帰ったら私も軍馬に乗ってみたい。かっこいいじゃん」
「その脚で?」
「あ、まだ全部伸びてないからだよ」
「ただの短足だろ」
「違うもん! それに、おじさんが乗せてくれればいいじゃん」
「軍馬は短足を乗せるの嫌がるぞ。あいつら、プライド高いからな」
「嘘!」
「ギュンターに聞いてみろよ。嘘かどうか」
「馬がどうやってしゃべるの?」
エクスでもないのに。
「本当だ」
やっぱり叔父様は、私の人生で一番の詐欺師だ。

 



 

  • ロンドの没落と皇帝との謁見
    • 逃亡を企てたジェミエルの死やラフドの失踪により裁判が続けられなくなり、ロンドの全財産はレギアへと渡って没落が決定する。
    • すべてを片づけたカッセルは、皇帝ウィンチェスターを訪ね、セリアが遺したものをすべて渡すよう要求する。
  • カッセルの帰還とアイカの拗ねた駆け引き
    • 祖父の家で一週間留守番をしていたアイカは、ようやく帰ってきた叔父のカッセルと再会する。
    • 寂しかった反動から、アイカはあえてよそよそしい態度をとったり、丁寧にお辞儀をしたりしてカッセルを戸惑わせる。
  • 仲直りと手作りのプレゼント
    • カッセルが自分の後をずっとついて回る様子を見て、アイカは機嫌を直す。
    • 二階の書斎でうたた寝をしているカッセルのポケットに、アイカは一生懸命作った名前入りの刺繍ハンカチと手紙をこっそり忍ばせる。
    • 起きていたカッセルに見つかり、お互いに茶化し合ったり頬を引っ張り合ったりしながら、無事に仲直りする。
  • 軽口を叩き合う日常の再開
    • 手紙とハンカチを受け取ったカッセルは、アイカからお礼の品(百万ゴールドなど)をもらおうと冗談を言う。
    • その後、カッセルと一緒に厩舎へ向かおうとするアイカだったが、「軍馬は短足を嫌がる」などと相変わらずからかわれながらも、穏やかな日常を取り戻すのだった。

 

 

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